『醉侠行/醉鬼張三』 | 続・功夫電影専科

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醉侠行/醉鬼張三
英題:Legend of the Drunken Tiger
製作:1991年(92年説あり)

▼本作は実在の武術家・張策(張長禎?)を扱った作品だ。
張策は清朝末期に活躍した達人で、太極拳や通臂拳に通じていたといわれている。別題に"醉鬼張三"とあるが、これは普段から敵の油断を誘うため酔っ払いに扮していた事から由来した、張策の異名だという(諸説あり)。この映画では張策が酔拳の使い手で革命派という設定で、同じ革命派として大刀王五・王正誼も登場し(冒頭では処刑される六君子のエピソードも)、中国大陸での大々的なロケーションなどで趣向を凝らしている。

■物語は革命派の徐麒威(彼が張策役)の活躍を描くもので、王侠の元で張國強(こちらは大刀王五役…『チャンピオン鷹』の彼とは同名異人)と共に革命?を志している。一時は清朝高官の谷峰(クー・フェン)と交戦していた徐麒威だが、そうこうしているうちに義和団事件が発生。中国は一気に動乱の中へ叩き落される事になった。連合軍に対して王侠は神打術を用いて立ち向かうが、圧倒的な戦力差に成す術も無く蹂躙されてしまう。
一方、谷峰邸から朱秀[丹彡]を助け出して身を隠していた徐麒威の元へ、敵(谷峰らの残党?)の追求が迫っていた。この襲撃で朱秀[丹彡]は死亡し、徐麒威は抵抗活動を続ける王侠と合流する事に。捕まっていた大勢の中国人を助け出し、連合軍との最終決戦に向かう徐麒威ら革命派。王侠の身を挺した犠牲によって血路を開いた一行は、追跡してきた連合軍の猛者との一騎打ちに挑むが…。

▲『少林寺』よろしく中国ロケを行った一本だが、少々スマートさに欠ける作品である。後半から突然義和団事件を持ち出してくる唐突な展開が統一感を損なっており、全編に渡って立ちはだかる敵が不在(谷峰は途中で消えるし、連合軍には目立った敵キャラは無し)なのも失敗の一因だろう。そもそも、本作が作られた頃は古装片ブームが爆発する直前の時期で、いまさら『少林寺』的な作品造りは完全に時期を逸している気がする。
出演者は徐麒威の他に、お転婆なお嬢様役で惠英紅(ベティ・ウェイ)、最後に徐麒威と闘う西洋人の1人に羅鋭(アレクサンダー・ルー)が参加し、功夫アクションだけは水準以上の迫力を保っている。それもそのはずで、本作で武術指導・脚本・監督を一手に引き受けたのは戴徹(ロバート・タイ)なのだ。ラストバトルでの徐麒威VS羅鋭ら西洋人4人組・惠英紅VS張春仲は、ニンジャ映画時代と変わらぬハイテンションなファイトで頑張っており、その辺りは満足な出来に仕上がっている。
しかし、ストーリーの乱雑さもニンジャ映画時代から不変なのはちょっと残念。張策を史実と違う酔拳使いにした改変も何の意味があったのか解らないし、大刀王五が脇役同然の扱いというのも腑に落ちない。そういえば、戴徹の師匠である張徹(チャン・ツェー)は本作と同じ義和団ものである『八國聯軍』を撮り、大刀王五の物語も陳觀泰(チェン・カンタイ)主演で製作している。どちらも私は未見だが、もしかしたら戴徹はそれらを意識して本作を作り上げたのだろうか?(ないない)