『醉蛇小子』 | 続・功夫電影専科

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醉蛇小子
英題:Bruce King of Kung Fu/The Young Bruce Lee
製作:1980年(何故か1986年説有り)

▼呂小龍(ブルース・リ)とは本当に姑息な男だ。あるときは苗可秀(ノラ・ミャオ)を担ぎ出し、またあるときは孟飛(メン・フェイ)のようなビッグスターを呼び寄せ、またあるときはリチャード・ハリソンを持ってきて国際色を豊かにするなど、客寄せパンダを作る事に長けていた。
裏を返せばそれほど慎重だったということなのだろうが、今回はちょっと毛色の違う呂小龍トリックを駆使している。まず本作のタイトルを見て欲しい。『醉蛇小子』……この明らかに"それ"と解るネーミングが、この作品の全てを語っていると言えるだろう。まったくもって本当に、呂小龍は貪欲なほど姑息な男である(溜息

■さて本作は、珍しく呂小龍が李小龍の伝記映画に挑んだ作品だ。
大抵の李小龍伝記は何宗道(ホー・チョンドー)の主演作が多いので、もっぱら李小龍作品のインチキ続編製作に活路を見い出していた呂小龍にとって、本作はちょっとした冒険だったのかもしれない。ちなみに本作で描かれるのは李小龍のハイスクール時代で、史実通りに暴れはっちゃくな時期の李小龍を演じている。時に悪友の韓國材(ハン・クォツァイ)や陳國權とつるんだり、詠春拳の道場に通ったりする呂小龍(ちなみに道場の先生はよりによって馮敬文である・笑)。同時に彼は様々な事件や出来事に遭遇し、功夫の腕を磨いていくのだった。
ところがやんちゃ続きの毎日を送っていた為に、呂小龍はとある功夫道場と敵対関係に陥ってしまい、襲撃されて馮克安(フォン・ハクオン)に惨敗を喫してしまう。そこで以前知り合った蛇拳の達人に師事して蛇拳を習い、独自の改良を加えて"酔蛇拳"を生み出した。
さて、ここまで来てようやく本作の正体が見えてきた。この作品はいつもの呂小龍映画でありながら、コメディ功夫片っぽい外面をあつらえたタイトル詐欺な映画だったのだ。要するにこの『醉蛇小子』というタイトル自体も、単なる客寄せパンダでしかなかった訳である。
臆面も無く使用される『ジャンボーグA』の主題歌をバックに、酒を飲みながら本物の蛇を虐待しつつ(笑)修行を続ける呂小龍。お馴染み楊斯(ボロ・ヤン)との対決もそこそこに、呂小龍は例の功夫道場と馮克安へのリベンジを決行し、見事に勝利を収めた。しかし対する功夫道場もこのまま黙っているはずがなく、石堅(シー・キェン!)の道場から江島を助っ人として呼び寄せてきた。当然呂小龍は難なくこれを返り討ちにするのだが、今度は石堅本人が直々に現れてしまい…。

▲本作は作品としては半端な印象があるが、これは顔合わせを楽しむ映画である。
先ほど「コメディ功夫片っぽい外面をあつらえた作品だ」と私は述べたが、出演者もそれとなくジャッキー映画系のキャストを起用しているのがミソで、馮克安を筆頭に呂小龍の友人役で韋白(ウェイ・パイ)が、門下生のザコには黎強權(ベニー・ライ)がこっそり登場している。呂小龍VS馮克安や呂小龍VS黎強權(絡みでの接触だが)という対戦も、今考えるとなかなか面白いマッチに思えてくる。そして何といっても1番の注目点は、ラストバトルにおける呂小龍VS石堅の一戦だろう。
バッタもん李小龍VS李小龍と戦った男といえば、何宗道の『龍的影子』におけるVSダン・イノサント戦に次ぐ快挙であり、このバトル自体も結構頑張っている。ストーリーを見ると、石堅は呂小龍と直接の敵対関係だったわけではないので、完全にとばっちりを食らった形での対戦になってしまっているのはアレだが(苦笑)、殺陣は『燃えよドラゴン』の立ち回りをちょびっと再現したりと、割と良い感じにまとまっている。
新鮮な共演が功を奏し、呂小龍作品としてはそれなりに見られる作品になっている本作。しかし、こんなことなら奇妙なタイトルじゃなくて石堅を客寄せパンダとして活用すれば良かったのではn(略