『ソードキング』 | 続・功夫電影専科

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香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


「ソードキング」
原題:THE KING MAKER
制作:2005年

▼ここ最近、私は新しいマーシャルアーツ映画をコンスタントに見ている。しかしパッケージやタイトルがどれも似たり寄ったりというのはちょっとなぁ…。『ダークブレイド』みたいに便乗する気満々のジャケなんかを見ると言い様の無い脱力感を感じるが、こういうゴミの中から面白い作品なんかに出会った時は、かなり嬉しかったりするものである。
この作品も何か壮大な歴史ファンタジーのようなジャケだが、裏の解説で忍者らしき男が手裏剣を投げているカットがあったので、僅かな望みを抱いてレンタルを決意した。実は、以前『ワイルド・スマッシャー』でも「敵は少林寺!」という解説に興味を惹かれ、中古で入手して悲惨な結果を味わった経験がある。今回も同じ末路を辿るのでは…と警戒したものの、ついついレンタルショップのクリスマスセール(視聴したのは年末)という甘い誘惑に誘われ借りてしまったのだ。
で、その結果はというと…この作品のカテゴリを見れば一目瞭然、期待してた結果がこれだよ!(涙

■時は中世ぐらいの時代。軍人のゲイリー・ストレッチは乗っていた船が沈み、見知らぬアジアの小国に流れ着いた。そこで都合良く同郷のねーちゃんに助けられたりなんかしちゃう訳だが、この国は戦乱の真っ只中。ストレッチは大勢の兵士たちと共に戦争に参加する事になり、手柄を立てて皇帝の親衛隊にまで出世したりするあたりは非常にご都合的だ。
しかし、その一方でお妃様は皇帝に相手にされずお怒りのご様子。それをいいことに間男と浮気を続けていたが、ある日その男と"デキちゃった"ことで国を乗っ取ろうと企む。日本のニンジャやねーちゃんのパパ(実はストレッチの親の敵)を利用しまくり、とうとう遂には皇帝の暗殺に成功。芝居を打って邪魔なストレッチたちを幽閉し、間男を新たな皇帝に祭り上げて全てを手に入れてしまった。余興としてストレッチと友人の兵士を戦わせようとするお妃様だが、もちろん悪事の結末には天罰が待っていまして…。

▲この作品、冒頭に「この物語は事実をもとにしています」という前置きがあり、史劇であることが明示される。
しかし本作の一番トンチキなのがこの国の描写で、これによって史劇という説得力が皆無になっているのだ。この国には外人地区が点在している模様で、紹介したとおり日本人も出てくる。だが、その国の光景が日本・タイ・マレーシア・インドなどがごちゃごちゃになったような闇鍋のようなもので、当然戦争にもこれらの国々が参加している。
インドとかマレーシア勢はまだ違和感が無いが、甲冑とチョンマゲ姿のサムライが中心の日本勢が凄まじく場違いだ(笑)。そもそも、小国といえども外国の軍勢を多く従えた多国籍軍なんて、本当に当時はありえたのか?と疑問を抱かずにはいられない。ドルフの『ブラック・ソルジャー』みたいにファンタジーとして割り切った描き方をしてくれたなら飲み込めたが、これで史劇だって言われてもなぁ…。
なお、本作は剣でのアクションが大部分を占めるが、たまにワイヤーを使ったアクションなども登場。特にストレッチが奴隷市場から逃走を図る場面の出来がとても良く、小道具を使ったアクションなどはジャッキー映画のそれを髣髴とさせる。これで最初はおおいに期待したが、いざソードアクションになると途端に動きが悪くなったのには相当落胆させられました(萎
ストレッチ自身は十分動ける人なのだが、どうしてこんなにモタつく結果を生んでしまったのか定かではない。ワイヤーアクションもニンジャの演出も手慣れてない感じがしたが、やっぱりこうなったのはアクション指導の責任なのだろうか。もし香港系の武師(郭振鋒とか梁小熊とか)が関わっていたなら、それこそ素晴らしいアクションが見られたのかもしれないが…。