
「アルティメット・マシーン」
原題:HEATSEEKER
制作:1995年
●前作のハッピーエンドを台無しにした『キックボクサー2』、李小龍の有名作品をパクった『キックボクサー4』、笑えないアクション喜劇の『ワイルド・スマッシャー』、ベニー・ユキーデが宝の持ち腐れと化した『ブラッド・マッチ』…今年は一年を通してアルバート・ピュンに悩まされる年でもありましたが、今回もピュン印の作品の登場です(萎
舞台は近未来。人体に改造を施した半機械のファイターが席巻していた格闘大会で、キース・クックは生身の体でありながら王者となった。しかし、クックに倒されたゲイリー・ダニエルズが更なる改造を受けて復活。ゲイリーの雇い主はクックの恋人(兼トレーナー)を強引に誘拐し、自ら企画した格闘大会にクックを半ば無理矢理に出場させてしまう。ヒロインはゲイリーの雇い主からゲイリーを指導せよと強要され、否応なしに大会へ参加したクックはゲイリーとの最終決戦に挑むのだった…と、話だけを見るなら結構ありがちな感じだ。
だが本作は、格闘大会が始まった途端に無個性な格闘アクションが淡々と続くだけの作品に成り下がってしまう。
言うなれば、『片腕カンフー対空とぶギロチン』の格闘トーナメントが延々と続いていく(ただし選手は全員没個性的で、ファイトスタイルは全く差別化されていない)と言えば解りやすいだろう。この格闘大会での演出もまたクセモノで、全体的に画面がボカシ気味の効果で覆われており、正直言って見え辛いことこのうえないのだ。クックとゲイリーの格闘アクションは流石に素晴らしいものの、この全編を通して炸裂するピュン独特のタルい雰囲気で、全てがご破算となっている。
ストーリーは格闘大会モノにありがちな八百長やそれぞれの確執を挟み、クライマックスに向けて展開していく。だが、最後の戦いに挑むクック・2人の男の間で揺らぐヒロイン・疑問を感じ始めるゲイリー・雇い主の末路などといった物語の決着を、ああいう形で処理してしまったのは流石に酷過ぎる。香港映画ならこの終わり方でも許せたかもしれないが、いかんせんこの作品は近代のハリウッド映画。それなのにあんなラストで締めてしまうなんて、ピュンは他所から文句を言われなかったのだろうか?
かつてクックとゲイリーは、共にゴールデンハーベストのスクリーンで闘い(クックは『チャイナ・オブライエン』、ゲイリーは『シティ・ハンター』)、共に呉思遠の薫陶を受けた(クックは『キング・オブ・キックボクサー』、ゲイリーは『BloodMoon』)。そんな上質の素材も料理人の腕がトンチキならゲテモノに成り果ててしまうものなのだと、本作を視聴する前に2人の名前を見て少しでも期待していた自分に言い聞かせてやりたい気分になる映画でした(爆