『レディ・ソルジャー/エリツィン暗殺指令』 | 続・功夫電影専科

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「レディ・ソルジャー/エリツィン暗殺指令」
「BLACK CAT 2 黒猫2」
原題:猫II 刺殺葉利欽
英題:BLACK CAT II/BLACK CAT 2: THE ASSASSINATION OF PRESIDENT YELTSIN
製作:1992年

▼最悪だった『黒い女豹』の続編だが、これがD&B最後の作品という事になるのかな?
物語はタイトルそのまんまの話で、強化手術を受けた梁[王爭](ジェイド・リョン)がエリツィン大統領(当時)の暗殺を企てるヒットマンを追う話である。前作と同様に無名の外人ばっかりのキャスティングだが、本作ではあの仇雲波(ロビン・ショウ)が出演している。仇雲波は『タイガー・コネクション』や『地下兵工廠』などのD&B作品に参加しているが、今回の出演もその流れから起用されたのだろう。だが、梁[王爭]以外に知っている顔はおらず(前作で登場した任達華(サイモン・ヤム)でさえ登場していない)、D&Bがどれぐらい切羽詰っていたかが伺える。

■前作の後、梁[王爭]は新たに再手術を受けてパワーアップを果たした…と、劇中では描かれているが、実際は視界がサイボーグのようになったり、ターゲットではない人間を撃ち殺したりと欠陥ばかり。前作でも十分おかしなキャラだった梁[王爭]が、更に感情移入のしにくいキャラへと退化してしまっているのは大問題だ。
で、パワーアップ(仮)した梁[王爭]は、荒っぽい捜査官の仇雲波と共にエリツィン大統領の命を狙う暗殺者を追い求めていく。敵を追って雪山からロシアへと舞台は移るが、訪米したエリツィンがバレエ鑑賞に行ったところ、肩を撃たれてしまう。完全に息の根を止めようと狙撃する暗殺者だが、梁[王爭]がこれを阻止。飛行機で逃げようとする暗殺者と、梁[王爭]の死闘が幕を開けるのだった。

▲本作は前作のように基盤となるストーリーが無いので、今回は完全にオリジナルの物語となっている(当たり前の話だが)。梁[王爭]と仇雲波は見事な功夫アクションを何度も披露しており、前作の二の舞には陥っていない。特にラストの梁[王爭]VS暗殺者の死闘はなかなかのもので、潘健君(トニー・プーン)の手腕が光る名勝負となっている。
だが、やはり前作同様に今回もバッドエンド風のラストで息苦しく、悪が倒れたというのに爽快感は全く得られない。せめてあの冷徹な上官を仇雲波が殴り飛ばしてくれたならなお良かっただろうが、結局は前作と同じく暗い締めで終わってしまった。思い起こせば、D&Bの最初の作品である『レディ・ハード/香港大捜査線』のラストも、悪は倒れたのに凄まじく後味の悪いラストだった。
最後の最後まで徹底してこの暗めの路線を貫き続けたD&B…一体、なぜここまでしてD&Bは暗い路線を歩んだのだろうか?D&Bが消えた今、その理由を知る術は残されていない。