『キックボクサー』 | 続・功夫電影専科

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香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


「キックボクサー」
原題:KICKBOXER
製作:1989年

●ジャン=クロード・ヴァン・ダムの初期主演作の中でも、傑作と名高いマーシャルアーツ映画である。物語は至極シンプルなもので、再起不能にされたキックボクサーの兄の仇を取るべく、ヴァンダムがリングに上がって闘う話だ。
デニス・アレクシオはキックボクサーのチャンプで、弟のヴァンダムと共にキックの本場であるタイへ遠征に出立した。だがそこで待っていたのは桁外れの強さを誇る怪物、ミシェル・クイシだった。非道なミシェルはアレクシオの背を叩き折り、一生歩く事が出来ない身体にしてしまう。ヴァンダムは仇討ちを誓ってムエタイの達人であるデニス・チャンのもとに弟子入りする…。
本作はさながら香港映画のような「特訓&仇討ち」映画だ。質素な小屋で暮らす世捨て人のデニスは袁小田(ユェン・シャオティエン)を髣髴とさせ、ヴァンダムが挑む特訓の数々も『酔拳』『蛇拳』のそれを連想させる(こちらの方が多少リアルスティックであるが)。
ストーリーはヴァンダムが兄を倒されて特訓してミシェルを倒して終りという単純なものだが、ここらへんの薄っぺらさも香港映画っぽい。のちにヴァンダムは楊斯と死闘を演じる『ブラッド・スポーツ』に主演。更に徐克(ツイ・ハーク)や呉宇森(ジョン・ウー)ら香港映画のスタッフと仕事をしていくが、すでにこの頃から香港映画を意識していた様子が垣間見え、とても興味深いものを感じることができる。
アクションに関してはそこそこ。殺陣は蹴り一辺倒で代わり映えはしないものの、劇中ヴァンダムによって「これでもか!」と披露される華麗な回し蹴りの数々は素晴らしい。近年はこういったコテコテのマーシャルアーツ映画を撮らなくなったヴァンダムであるが、本作での活躍ぶりは目を見張るものがある。是非とも本作のようなテンションの高い作品をまた作ってくれないかなぁ…?
なお、本作の武術指導はなんと成家班の張午郎(チャン・ウーロン)がジョン・チャン名義で担当(どうりでデニスの替身などの見せ方が上手かった訳だ)。この他にもミシェルを飼っているボスの手下に李家鼎(リー・ガーデン)が参加している。
この李家鼎、かつて『闘え!ドラゴン』というドラマで倉田保昭を相手に鉄の爪で戦ったことがある。クライマックスのヴァンダムVSミシェル戦で切り傷を受けたヴァンダムを見た李家鼎は李小龍っぽく血を嘗める仕草をしたが、もしかしたら同じ様な傷を倉田に付けた自分の事を思い出していたのかもしれない…って、さすがにそれは無いですね(苦笑