
「リトル・キョンシー 幽霊王子」
原題:幽霊王子
英題:Spiritual Princeling
製作:1988年
▼今回もキョンシー映画の紹介だが、本作は前回の『新・キョンシーズ』同様、キョンシー映画ファンにはあまりウケが良くない作品のようだ。『新~』は色々と画期的なキョンシー像を打ち立てていたが、従来の映画に登場するキョンシーとはあまりにもかけ離れており、『新~』に関して否があるとすれば、たぶんその部分だろうと思われる。
で、本作は何が悪かったのかと思って見てみたのだが、あくまでキョンシーを主軸にしていた『新~』と打って変わって、本作はぜんぜんキョンシー映画らしくないのである。それ以外の点でも色々と問題のある作品なのだが、それに関しては後述をば。
■清朝期のある日、反朝派の自爆テロによって清の王子7人が死んでしまう(これが史実に基づいた話かどうかは不明)ところからこの物語は幕を開ける。
200年後、7人の王子が眠る墓で1人の女が刺し殺された。その女の血によって王子たちはキョンシーとして蘇るが、殺された女・呂[乃皿]瑩(けっこう綺麗な人だが詳細不明)の身の上に同情した王子たちは、彼女を死に至らしめた者たちへの復讐に協力するのだった…。
▲↑の文中には"キョンシー"と書いたが、本作の主役である王子たちは血色が良く、キョンシー独特の手を突き出してピョンピョンと飛ぶ動作もほとんどしない。それどころか普通に喋ったりするので、まったくキョンシーには見えないのだ。
彼ら以外にそれらしいキョンシーはラストにしか登場しないので、これでは本作がキョンシー映画として失格の烙印を押されても仕方がないだろう。
また、本作は演出が野暮ったいのが問題で、何度も繰り返されるスロー効果、ラストバトルでしきりに挿入される反転映像(ほんのさっき使用したシーンを反転して使っているだけ)など、とてもじゃないが効果的とは言えないものばかりだ。
ストーリーに関しても同様で、呂[乃皿]瑩が自分の死んだ成り行きを回想するくだりも、あんなに尺を取らずにもっと簡潔にできたはずだ。それに、チビっ子キョンシーたちが喜び勇んで人殺しに荷担するという構図や、SMっぽい暴力的なシーンもあり、素直に楽しむことはできなかった。
武術指導は王連斌という聞いたこともないような人が担当しており、こちらもまたダラダラとしていて迫力不足。『キョンシーズ』から張台生、『新・桃太郎』から楊如球、悪党役には太保(タイ・ポー)、厳格な道士役には谷峰(クー・フェン)といった豪華な面子を起用しているものの、それらがまったく生かされていないのは問題である。
なお、原題やスタッフについては国内はおろか、海外のデータベースサイトにさえ詳しい情報が無い。そのため実際に見てみるまでは解らなかったが、原題と英題は上記の通り。監督は『ミラクルカンフー・阿修羅』や『少林ブラザーズ』の羅熾(ロー・ツェー)ということが判明した。しかし、どうしてどこのデータベースに何も載っていないのだろうか?色々と不思議な作品である。