『銀蕭月剣翠玉獅』 | 続・功夫電影専科

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銀蕭月剣翠玉獅
英題:Moonlight Sword & Jade Lion
製作:1977年(1981年?)

●ゴールデン・ハーベスト(以下GH)の黎明期を支えた功夫レディ、茅瑛(アンジェラ・マオ)。そしてGHにてデビューを果たした正統派功夫スター、王道(ワン・タオ)。この2人はGHを去ると台湾へと活躍の場を移し、それぞれ活動を続けた。しかし、同じGHから羽ばたいた者同士ではあったものの、王道はすぐに台湾へ行ってしまったため、GH内で2人が共演を果たす事は無かったのである。
2人が共演を果たせたのは1977年に製作された本作と『三千大洋』で、それ以外には後年の『怒馬飛砂』でしかこの顔合わせは実現していない。そういう意味では貴重な作品といえるし、茅瑛と王道による同郷同士のバトルもしっかり見ることができる。だが、本作はまったりとした感じのシリアス武侠片(なんじゃそりゃ)で、台詞主体で織り成される物語が非常に解りづらいのが難点だ。
とりあえず「茅瑛が王道と悪を討つまで」という筋立てである事までは解るのだが、物語のテンポは至極まったりと進む(悪く言えば遅い)ため、シリアスな話ではあっても緊張感はあまり感じられない。功夫アクションにしてもそんなに多い訳ではなく、どちらかといえばドラマ重視となっているので、あまり派手さも感じる事はできなかった(まぁ、ドラマ自体もそれほど面白くはなかったのだが…)。
悪い作品ではないが面白い作品とも言いきれないイマイチな出来の本作だが、実は上記の茅瑛VS王道と並んでもうひとつ見どころが存在する。
この作品にはラスボスの愛人(?)役で台湾功夫片の常連である龍君兒(ドリス・ロン)が出演しており、幾度か茅瑛VS龍君兒という夢の対決が行われるのである(2人はこれ以後も譚道良の『決闘太陽塔』で共演することとなる)。茅瑛は映画人生の晩年期に楊惠珊(エルザ・ヤン)など様々なレディドラゴンと共演していく事となるのだが、本作こそがその先駆けであったと考えると、感慨深いものを感じられる。
ちなみに監督の廖江霖(カール・リャオ)は、荊國忠の主演作『夢拳蘭花手』の監督だ。パッとしない感じの作風が引っ掛かっていたが、あの作品の監督ならなるほど納得。アクションやキャストはそこそこ良いだけに、この出来に甘んじてしまったのはちょびっと残念です。