特集・好小子たちの戦い(07) 『ビビアン・スーの恋しくて…』 | 続・功夫電影専科

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香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


「ビビアン・スーの恋しくて…」
笑林小子
SHAOLIN POPEYE/SHAOLIN POPEY
1993

▼90年代を向かえ、香港・台湾の映画界は、現代的なオシャレ系映画の出現やワイヤーを駆使した古装片の登場と、大きなうねりを見せていた。この時期、好小子系列の作品は『少林キッズ(小醉拳)』や『少林活寶貝』などがあり、特に『少林活寶貝』は『フル・ブラッド』に出演していた蔡宇が主演し、劉家輝や王龍威や郭振鋒といった豪華な面子が共演している(残念ながら未見)。
そんな中、かつて『カンフーキッド/好小子』をヒットへと導いた台湾の大御所、朱延平(チュー・イェンピン)が新たな好小子を羽ばたかせようとしていた。それが本作で重要なキャラクターとして登場する釋小龍(シク・シウロン)だ。ただ、日本での彼の扱いはというと…(後述)。

■林志穎(ジミー・リン)はサエない高校生だが、ある日同級生のビビアンに一目惚れしてしまう。ところが彼女には既に彼氏がおり、その彼氏は林志穎が通う学校の教頭の息子で、しかもすっごく嫌なヤツだった。目の上のタンコブである彼氏の嫌がらせにもめげず、何度もビビアンにアプローチをかける林志穎。しかし力の差は歴然で、ビビアンの目の前で彼氏とのケンカにもボロ負けしてしまう。
その後、傷心の林志穎は父の転勤で大陸へと引っ越した。そこで林志穎の弟・[赤β]劭文(役名が周星馳!)は少林寺の釋小龍(役名が李連杰!)と出会い、[赤β]劭文の進言で林志穎は功夫の特訓を受けることになった。
少林寺にホームステイし、過酷な修行を経た林志穎はたくましく成長。再びビビアンたちのいる町へと戻った。ところが、ビビアンの彼氏と彼の父である教頭がよからぬ話をしているところを聞いてしまった林志穎は、教頭たちに目を付けられてしまう。
林志穎は揉め事の解決にと行われた野球対決で見事にリベンジを果たすが、腹の虫がおさまらない教頭親子が彼らの前へ現れた。教頭は用心棒のマーク・ホートンらを引き連れて林志穎たちを捕らえようとするが、釋小龍たちの登場で形勢は逆転!あとはビビアンとの恋の行方だけど…?

▲本作は邦題の通り、日本でもブレイクしたビビアン・スーをフィーチャーしているが、タイトルのようにビビアンの恋物語というわけではない。出番も多いとはいえないし、ビビアンファンからすればちょいと納得がいかないかもしれない。
しかし、内容はシンプルな恋愛コメディで、明るく楽しく見ることが出来る。また、『シティー・ハンター』でジャッキーが「ストリート・ファイター」の実写版をやっていたが、本作でも似た感じの格闘ゲームのキャラに登場人物が扮して寸劇を繰り広げる場面がある。他にも『ホーム・アローン』の劣化コピーみたいな場面があったりするなど、さすがは近年『カンフー・ダンク!』なんか作っちゃう朱延平。ある意味王晶(バリー・ウォン)もびっくりのパクリっぷりだ(爆
そして肝心の釋小龍だが、本作を撮影した当時の年齢はなんと5歳(!)。もしかすると歴代最年少の好小子と思われる。あとこれは余談だが、釋小龍は私より1つ年下です。なんだかちょっと親近感が湧いてきちゃったりなんかしちゃったりして(笑
そんな彼は河南省出身の武術家一家の出で、本作ではワイヤーなどを織り交ぜたバトルを披露し、幼いながらもかなり頑張ったアクションを見せている。過去の好小子にあったようなアクロバティックな動作はそんなに見られないものの、台湾での人気は中々のものだったらしく、本作も続編が製作されている。
このほかにもビビアンは可愛いし、[赤β]劭文はちょっとウザいけど(爆)演技でも頑張っているし、作品自体も取り立てて酷い出来というわけではなかった。それなのに、本作は日本ではまったく注目されていない。それはひとえに、本作がビビアンをフューチャーして売り出された事が起因していると思われる。

実は、釋小龍の出演作は他にも日本に登場している。『ビビアン・スーのパイレーツの逆襲(黄金島歴險記/超級中國龍)』『金城武のチャイナ・ドラゴン(中國龍)』『ビビアン・スーのロマンシングドラゴン(龍在少林)』がそれだ。
当ブログでも『ロマンシングドラゴン』を紹介した事があり、これ以外には『アルティメット・バトル/忍者VS少林寺』という作品もある。が、ご覧のようにビビアンや金城くんをメインの売りとしており、釋小龍の名前はどこにも無い。釋小龍はこの売られ方ゆえに日本で認知されにくくなっているものと思われるが…う~ん。