
「妖術秘伝・鬼打鬼」
「燃えよデブゴン8/クンフー・ゴースト・バスターズ」
原題:鬼打鬼
英題:Encounter of the Spooky Kind/Close Encounter of the Spooky Kind/Spooky Encounters
製作:1980年
▼洪金寶(サモ・ハン・キンポー)が新機軸として打ち出したホラー・カンフー映画のひとつ。これが後に発展して『霊幻道士』などのキョンシー作品の原型となるのは、皆さんもご存知かと思います。
注目すべきはダブル主役の鐘發(チュン・ファット)が、正義の道士役を演じている点でしょう。彼はその野性的な風貌のせいか、長らく悪役・端役としての仕事が多かったため、本作のようにメイン級の善役を演じるのは本当に稀なのです。
■サモハンは町でも評判の豪胆な男。仲間に廃屋での肝試しを持ちかけられ、現れた幽霊が彼らの変装だと見破るも本物が登場! 騒動が持ち上がるが、当のサモハンは仲の悪い妻が不倫をしている疑惑があり、気が気ではなかった。
そのことを常連客の富豪・黄哈(ウォン・ハー)に漏らすが、何を隠そう浮気相手は黄哈その人。彼は邪魔なサモハンを殺害すべく、道士の陳龍(チェン・ロン)に頼んで呪い殺してしまおうと考えた。
あの手この手でサモハンを陥れようとする陳龍は、彼に妻殺しの罪を着せて逮捕させてしまう。そんな絶体絶命のサモハンに救いの手を伸ばしたのが、陳龍の弟にして正義の道士・鐘發であった。彼は敵が黄哈であると明かし、まじないをかけて最後の決戦に備える。
実は事件の黒幕は死んだはずの妻であり、彼女はサモハンを始末して黄哈と添い遂げようと企んでいたのだ。黄哈の屋敷に現れたサモハンと鐘發は、妖術のパワーを高めるやぐらを組んで準備万端。対する陳龍は助手や黄哈に精霊を乗り移らせると、驚異的な能力で襲いかかってきた。
鐘發もサモハンに霊を憑依させ、ここに壮絶な妖術合戦の火蓋が切って落とされる!
▲本作には、後のキョンシーの原型ともいうべきキャラが既に登場していますが、ゾンビっぽかったり普通に走ってきたりと方向性が定まっていません。扱いも他の妖術とそんなに変わらず、当時はまだキョンシーだけで通すという考えは無かったものと思われます。
ホラー描写についてはグロテスクな演出が多く、生理的な嫌悪感を抱かせるシーン(実際にニワトリの首を切る・本物のウジ虫を体に這わせる・サモハンの腿が食いちぎられる等々)が多数ありました。おかげで雰囲気は出ていますが、こういうのが苦手な人は本当にダメなんだろうなぁ…(苦笑
しかし前述の鐘發をはじめ、ガンコだがちょっとお茶目な林正英(ラム・チェンイン)など、人物描写はとてもユニーク。アクションも天下一品で、ラストの2連戦は素晴らしい出来栄えとなっています。
特にサモハンVS黄哈は棍棒と剣を駆使した死闘となり、デブゴン系列の中でも屈指のベストバウトでした。恐らく初見の人は、敵が『酔拳』で修業前のジャッキーに軽く倒されたオッサン(王将の弟)だと気付かないでしょうね(笑