『三毛流浪記』 | 続・功夫電影専科

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三毛流浪記
Kung Fu Kids Break Away
1980

▼面白い事に本作はマンガが原作になっている。過去にもマンガ原作の功夫映画は『龍虎門』などがあるが、こちらの原作は張楽平による社会風刺劇が元となっている。古い作品で、日本で言うところの『サザエさん』に相当するもので、本作以外にもアニメやドラマにもなっているとか。
主演は『秘法・睡拳』などで功夫映画ファンにはお馴染みのカンフーキッド・黄一龍だ。その他には前もって調べたが目新しい人物は特に出ておらず、原作が原作だし台湾製のベタベタなガキンチョ功夫コメディで終わるのかな…と、自分は初見の際はそう思っていた。だがしかし、本作には意外な人が出演しており、とんでもないことになっていたのだ!(後述

■主人公・三毛こと黄一龍は天涯孤独な少年で、流浪の旅を続けていた。とある町で乞食の歐弟やその姉と出合った黄一龍は意気投合し、貧しいながらも健気に生活を続けていた。しかし、こんな片田舎にも嫌な連中はいるもので、高雄(エディ・コー)をボスとした連中がショバ代取りなどで幅を利かせていた。
そんなある日、3人は安定した収入を得るために大道芸をしていると、高雄の手下である馬場たちが因縁をふっかけてきた。苦戦する黄一龍らだが、ちょうど居合わせた1人の風来坊が悪漢どもを撃退した。で、この風来坊がなんと…あの[上下]薩伐(カサノバ・ウォン)なのだ!高雄が出てるなんて知らなかったが、まさか[上下]薩伐も出てるなんて!
[上下]薩伐は捜査官?で、高雄の悪事を暴くために来た刺客らしい。高雄一味は襲撃に出た[上下]薩伐を逆に捕らえ、町中で処刑を行おうと画策する。黄一龍たちは一度助けてもらっただけだが、彼に恩義を感じて救出作戦を計画した。
高雄の息子だが歐弟の姉と良い仲であるイケメンの協力のもと、処刑当日に計画を実行した黄一龍らは、見事に[上下]薩伐の奪還に成功。もともと高雄たちを快く思っていなかった町の住人も立ち上がっての大乱闘が始まった。黄一龍らは鄭富雄のいる豆腐屋に敵を誘いこんだり、乞食仲間といっしょに町中に仕掛けた罠で迎え撃ったりと大奮戦だ。
その夜、[上下]薩伐は3人に自分の正体を告げていたが、一方の高雄はご立腹だ。イケメンはそろそろ立場が危うくなってきたので、これ以上は黄一龍たちと協力できない…とのこと。こうなったら自分たちだけで高雄らを迎え撃たなければならない。黄一龍らは沢山の罠を張り、高雄に挑戦状を叩き付けた。
そして翌日、ついに高雄一味との決戦となった。今回は高雄自身も出向いており、[上下]薩伐Vs高雄との壮絶な闘いが始まった。その脇で黄一龍と歐弟とその姉Vs馬場のおバカな闘いも展開されているが、果たして勝つのはどっちだ?!

▲いやいや、まさか[上下]薩伐が出てるなんてビックリでした。
今回の[上下]薩伐は後半から登場するゲスト出演的なものなのだが、ラストではそれまで相変わらず凄いアクロバットな動作を見せていた黄一龍を完全に食い、高雄との激しいバトルを繰り広げている。飛び蹴りをかわして逆に相手の背中に蹴りを浴びせたり、回転しながら両足蹴りを繰り出すなど、相変わらず素晴らしい足技の数々を見せてくれた。
でもって黄一龍も大健闘しており、実は劇中ずっとザコ相手に負けっぱなしなのだが、その軽快な京劇仕込みのアクションは流石といったところ。馬場を相手にトンボを切っていたのが印象的だ。
本作のヒロインとなる歐弟の姉役(名前不明)もラストで黄一龍と見せたツープラトンもなかなかだったし、終始こじきの格好でいたが終盤でおめかしした場面も可愛かった(笑
ストーリーも破綻することなく安定しているし、劇中でのエキストラの数から見て、結構大がかりな規模で作られた事も伺える。ガキンチョ功夫コメディといえば『ロマンジング・ドラゴン』などを紹介した事があるが、とかくこの手の作品では「子供がメインターゲットだから、とにかく面白いとこを見せる」という趣向ゆえに話が脱線し、ガタガタになりがちだ。その点、この映画は最初から最後までキチッと作ってあるようで好感が持てる。
『Martial Arts 50 Movie Pack』から今まで色々紹介したが、これといって当たりと思う作品は出てきていない。その中でも本作はなかなかの秀作だったと言えるだろう(まだまだ未見の作品も多いが)。
ちなみに本作の主人公"三毛"だが、その名前の由来は頭に三本毛が生えていたから。かの洪金寶(サモ・ハン・キンポー)のあだ名である"三毛"はここから取られている。それにしても、劇中黄一龍の髪型はごく普通だったような…?