
「キング・オブ・フィスト」
Live by The Fist
1993
●格闘アクションというものは演じる俳優の技術も大事だが、それを受け止めてくれる受け手側の技量も重要である。例えば同じ蹴り技を喰らうとしても、蹴られてそのまま呻くよりも大回転して倒れたほうが迫力が増す…攻め手がいくらいい動きをしても、受け手がそれを受け止めないと絵にならないという事だ。
香港映画はこの2つの要素が十分色濃いので安心して見ることができるが、欧米のマーシャルアーツ作品では2つの要素自体が疎かになっている場合がよくある(最近の作品はそれほどでもない)。その点から考えれば、本作はギリギリこの2つの要素をクリアしているといえるだろう。
主演は『ハード・ブラッド』で李連杰とも対決したジェリー・トリンブルだ。彼自身もかなりのセンスの持ち主であるが、カレン・シェパード主演の『ターミネーター・コップ』などでは武術指導の力量不足か、あまり満足のいくアクションは披露してくれなかった。だが本作は前述の通り、ちゃんと見られる殺陣になっている。
この映画はスケープゴートで罪を着せられたトリンブルが、刑務所内で様々な抵抗に遭いながらも脱出するという監獄アクションだ。そこに人種間の差別云々といった問題を組み込んでいるが、話のテンポが後半に入ってからガクンと落ちてしまうのが惜しい。アジア系囚人のリーダー格を演じたジョージ・タケイの演技も光るが、結局はトリンブルのアクションだけが浮き足立つ結果に終わってしまった。あっちがダメならこっちがダメ…映画というものはなかなか上手くいかないものである。