『わたしに』⑬ 最終章 裕久と絵美の場合 | From me

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韓ドラ(ラブコメ)好き

想像考察、創作恋物語、花に寄せたポエム、猫との生活etc…
雑貨屋さんのようなブログです。
来てくださって、読んでくださってありがとうございます。

 もうすぐ家のリフォームが終わる

 俺は待ちどうしくて仕方ない

 完成したらお前と娘たちが越して来る

 俺の経験した事のない生活が始まる






 「わぁ~大変!ママ、どうして起こしてくれなかったの?」

 「あら…お母さんを起こすのはパパの役目でしょう?」

 「パパはお母さんがママと出張するのが淋しいんじゃない?」

 「だからわざと起こさなかったんでしょ?パパ?」

 「そんな事ないよ…起こしたけど起きなかっただけだよ」

 「パパの意地悪…起きるまで起こしてくれたらいいのに…」

 「お前のパパじゃないって言ってるだろ?」

 「じゃぁ…あんたって言えばいいの?」

 「いいよパパでも…早くしないと遅れるぞ」




 「いってらっしゃい。パパとちゃんとお留守番してるからお土産忘れないでね」



 子供達の影響で、あいつはお母さん、母はママ、俺はパパと呼ばれているが嫌ではない

 むしろ嬉しい響きだ

 あいつは相変わらず母の秘書をやっていて、家の事はHさんが引き受けてくれている



 今朝は、子供達の言うとおりわざと起こさなかった

 結婚してから初めての、たった二泊三日の出張だが一日たりとも離れていたくない

 眠れない夜が続きそうだ…




 お前と一緒になってから俺には秘密がどんどん増えていく

 もちろん俺しか知らないお前の秘密が…


 お前が、“愛夢”だという事も…

 『初めての恋』『愛夢の場合』『あなたへ』が三部作ではなく、ソンジェが撮ったドラマを入れると四部作、いや、『わたしに』を入れると五部作だという事も…

 『あなたへ』を書き終えてから、H.Pを更新していないという事も知っている

 つまり『わたしに』は、俺しか知らない


 お前が俺の事で一喜一憂し、やきもち焼きだという事も知ったが、俺が、お前よりももっとやきもち焼きだという事も知った



 お前が俺の腕の中でないと眠れない事も、俺を誰よりも愛してくれている事も知っている




(もうそろそろ電話してくる頃だな)



 「眠れない…ユウヒの胸枕が欲しい…」

 「ビデオにして」

 「どうして?」

 「携帯を抱いててやるから…」

 「ぅふ…携帯にもたれて眠れそう…」

 


 それからの出張はそれがお互いのお守りとなった

 眠れるかよけいに眠れなくなるかは別として…


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