フェアポート・コンベンション (Polydor, 1968) | 人生は野菜スープ~アエリエルのブログ、または午前0時&午後3時毎日更新の男

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元職・雑誌フリーライター。バツイチ独身。午前0時か午後3時に定期更新。主な内容は軽音楽(ジャズ、ロック)、文学(現代詩)の紹介・感想文です。ブロガーならぬ一介の閑人にて無内容・無知ご容赦ください。

フェアポート・コンベンション (Polydor, 1968)フェアポート・コンベンション Fairport Convention - フェアポート・コンベンション Fairport Convention (Polydor, 1968) : 

Released by Polydor Records 582035, June 1968
Engineerd by John Wood
Produced by Joe Boyd, Tod Lloyd for Witchseason Productions
(Side A)
A1. Time Will Show the Wiser (Emitt Rhodes) - 3:05 (TV Appearance) :  

A3. If (Stomp) (Ian MacDonald, Richard Thompson) - 2:45
A4. Decameron (Paul Ghosh, Andrew Horvitch, Thompson) - 3:42
A5. Jack O'Diamonds (Bob Dylan, Ben Carruthers) - 3:30
A6. Portfolio (Judy Dyble, Tyger Hutchings) - 2:00
(Side B)
B1. Chelsea Morning (Joni Mitchell) - 3:05
B2. Sun Shade (Ghosh, Horvitch, Thompson) - 3:50
B3. The Lobster (George Painter, Hutchings, Thompson) - 5:25
B4. It's Alright Ma, It's Only Witchcraft (Hutchings, Thompson) - 3:12
B5. One Sure Thing (Harvey Brooks, Jim Glover) - 2:50
B6. M.1 Breakdown (Hutchings, Simon Nicol) - 1:22
(2003 reissue bonus tracks)
13. Suzanne (Leonard Cohen) - 5:48
14. If I Had a Ribbon Bow (Hughie Prince, Lou Singer) - 2:44
15. Morning Glory (Larry Beckett, Tim Buckley) - 3:13
16. Reno, Nevada (Richard Farina) - 7:43
[ Fairport Convention ]
Judy Dyble - lead vocals, electric and acoustic autoharps, recorder, piano
Ian MacDonald (Iain Matthews) - lead vocals, Jew's harp
Richard Thompson - vocals, lead electric and acoustic guitars, mandolin
Simon Nicol - vocals, electric 12 and 6 string and acoustic guitars
Ashley Hutchings - bass guitar, jug, double bass
Martin Lamble - percussion, violin
(Additional personnel)
Claire Lowther – cello
(Original Polydor "Fairport Convention" LP Liner Cover & Side A Label)

 
フェアポート・コンベンションのデビュー作となる本作はイギリスのフォーク・ロック史に決定的な役割を果たした重要作にして、本作かぎりで脱退する女性ヴォーカリスト、ジュディ・ダイブル在籍時の唯一のアルバムです。フェアポートが国民的バンドになるのは女性ヴォーカリストがサンディー・デニーに代わってぐっとトラッド・フォーク色を強め、レコード会社もアイランド・レコーズに移籍したセカンド・アルバム以降ですが、このデビュー作はアメリカ西海岸のジェファーソン・エアプレインやピーナッツ・バター・コンスピレイシー、イッツ・ア・ビューティフル・デイなど男女ヴォーカルを擁したフォーク・ロック~サイケデリック・ロックのバンドに強い影響を受け、エミット・ローズ(ザ・メリーゴーランド)やジョニ・ミッチェルらの楽曲をカヴァーしながらも、イギリスのバンドらしい繊細な感覚と瑞瑞しい演奏で軽やかなスタイルを築いており、ほぼ同時にイギリスならではのフォーク・ロックを始めたペンタングルやスティーライ・スパンとともに'70年代型フォーク・ロックにいち早く足をかけたもので、本作抜きにバシュティ・バニヤンやトゥリーズ、サイモン・フィン、メロウ・キャンドル、ニック・ドレイクら後発のフォーク・ロック・アーティストは語れないものです。そういう歴史的な位置を占める名作ですので、フェアポートの影響源になったアメリカ西海岸のバンドの楽曲をサンプルに引き、解説はAllmusic.com、また英語版ウィキペディアを訳して丸投げいたします。

Fairport Convention
(Polydor, 1968)
Allmusic Rating ★★★★1/2
User Rating ★★★★1/2
AllMusic Review by Richie Unterberger
 初期のフェアポート・コンベンションのアルバでも群を抜いてロック指向の強いこのデビュー作は、女性ヴォーカリストにサンディ・デニーが加入する前に制作されました。本作ではジュディ・ダイブルが女性ヴォーカリストとして参加しています。デニー加入前のフェアポートを重視しないリスナーに不当に見落とされている本作は、伝統的な英国のフォークよりもはるかに多くの着想を'60年代アメリカのウエストコースト・ロックのサウンドから取り入れた素晴らしいフォーク・ロックの成果です。この初期の時点でのフェアポートの主な強みは、特に男女ヴォーカリストのハーモニーを生かした、ジョニ・ミッチェル、ボブ・ディラン、エミット・ローズ、ジム&ジーンなどのアメリカのソングライターによる、あまり知られない曲のバンドによる解釈でした。メンバーの自作曲はカヴァー曲ほどの高い水準には達していませんが、特に「Decameron」と「Sun Shade」がメランコリックなムードを素晴らしく捉えており、当時見過ごされたよりもずっと優れたものでした。ダイブルに代わってデニーが加入した後でフェアポートがより独創的なスタイルを考案するのは事実ですが、このデビュー作のアメリカのフォーク・ロックのスタイルをこなしたメンバーの実力はすでに一流のものであり、過小評価されるべきではありません。
(allmusic.comより、全文)

 本作はリチャード・トンプソン(リード・ギター)を含むオリジナル・メンバーによって1967年に結成されたバンド、フェアポート・コンベンションのデビューアルバムです。メンバーにはサイモン・ニコル、アシュリー・"タイガー"・ハッチングス(ベース)がおり、ドラマーのショーン・フレイターは、最初のライヴの後にマーティン・ランブルに交替しました。その後まもなく、ジュディ・ダイブル(ヴォーカル)が加わり、ビートルズのマネジメントだったブライアン・エプスタイン主宰の日曜日コンサートでロンドンのメジャー・シーンにステージ・デビューを果たした後、さらに男性ヴォーカルのイアン・マクドナルド(のちにイアン・マシューズと改名)が加わりました。
  本作で聴ける当初のフェアポートはジェファーソン・エアプレインの最初の2枚のアルバムの影響を強く受けたアプローチで、後にバンドのトレードマークとなったイギリスの伝統的なフォークのエレクトリック化とは対照的に、アルバムにはエミット・ローズ(ザ・メリー・ゴー・ラウンド)、ジョニ・ミッチェル、ジム&ジーンの曲、ジョージ・ペインターの詩の改作、ボブ・ディラン、そして数曲のオリジナル曲が含まれています。
 また本作はジュディ・ダイブルが女性ヴォーカリストとして参加した唯一のフェアポート・コンベンションのスタジオ・アルバムになりました。ダイブルは1968年に脱退し、後任の女性ヴォーカルはサンディ・デニーに代わりましたが、ダイブルはバンドのステージで短時間に、特にヴォーカルを担当しない曲の時に布巾やスカーフを編むパフォーマンスで観客に印象を残しました。
 アメリカではフェアポート・コンベンションのアルバムはA&Mレコードからセカンド・アルバム『What We Did On Our Holidays』が『Fairport Convention』と改題されて先に発売されたので混同されがちですが、イギリス・ポリドールからリリースされたファースト・アルバムの本作はワーナー傘下のコティリオン・レコーズから1970年に初めてアメリカ発売されました。
(英語版ウィキペディア全文)

(旧記事を手直しし、再掲載しました。)