サン・ラ - サルート・トゥ・ウォルト・ディズニー (Leo, 1995) | 人生は野菜スープ~アエリエルのブログ、または午前0時&午後3時毎日更新の男

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元職・雑誌フリーライター。バツイチ独身。午前0時か午後3時に定期更新。主な内容は軽音楽(ジャズ、ロック)、文学(現代詩)の紹介・感想文です。ブロガーならぬ一介の閑人にて無内容・無知ご容赦ください。

サン・ラ - サルート・トゥ・ウォルト・ディズニー (Leo, 1995)
サン・ラ Sun Ra & his Intergalaxtic Arkestra - サルート・トゥ・ウォルト・ディズニー Second Star To The Right (Salute to Walt Disney) (Leo, 1995) :  

Recorded live at Jazzatelier, Ulrichsberg, Austria, April 29th, 1989
From the same concert that "Stardust from Tomorrow" (Leo, 1997)
Released by Leo Records Leo LR 230 (CD, 1995), Originally released as "Other Thoughts" ZUW Records ZUW 0001, Austria, 1993
All arranged by Sun Ra
(Tracklist)
1. The Forest of No Return (Bruns, Leven) - 5:37
2. Some Day My Prince Will Come (Churchill, Morey) - 7:53
3. 'Frisco Bay (Carr, Roberts) - 3:19
4. I'm wishing (Churchill, Morey) - 10:17
5. Zip a Dee Doo Dah (Allio, Wrubel, Gilbret) - 7:26
6. Second Star to the Right (Fain, Cahn) - 9:57
7. High Ho! High Ho! (Churchill, Morey) - 9:06
8. Whistle While You Work (Chuchill, Morey) - 9:06
[ Sun Ra & his Intergalaxtic Arkestra ]
Sun Ra - piano, synthesizer, vocal
Michael Ray - tumpet, vocal
Tyrone Hill, Julian Priester - trombone
Marshall Allen - alto saxophone, flute, clarinet
Knoel Scott - alto saxophone, flute
Eloe Omoe - alto saxophone, clarinet, bass clarinet
James Jacson - sopranino, oboe, vocal
Bruce Edwards - electric guitar
Arthur Juinie Booth - electric bass
Earl "Buster" Smith - drums
Elson Nascimento - surdo, percussion
June Tyson - violin, vocal
(Original Leo "Second Star To The Right" CD Liner Cover, Personnel Notes & CD Label)

 1988年以降のサン・ラは以前にご紹介したニューヨークのニッティング・ファクトリーでのライヴ作『Hidden Fire 1』『2』(El Saturn, 1988/'88年1月録音)から、1989年4月ライヴ録音の本作『Second Star to the Right (Salute to Walt Disney)』(Leo, 1995)までに、『Stay Awake』(A&M, 1988/88年録音、オムニバス/1曲のみ)、『Live at Pit-Inn (Cosmo Omnibus Imagiable Illusion)』(DIW, 1988, 同年8月収録)、サン・ラ生前にFM放送された『3rd September, 1988: Chicago』(Klondike, 2015)を経て、スタジオ録音のフル・アルバム『Blue Delight』(A&M,  1989/録音'88年12月)をメジャーのA&Mに残します。また『Somewhere Else』(Rounder, 1993)は『Blue Delight』とA&Mからの次作『Deep Purple』(A&M, 1990, 録音'89)セッションのアルバム未収録曲をラウンダーがバンドとA&Mから買い取ったものでした。以上のおさらい通り、1988年の録音は12月のスタジオ・セッション『Blue Delight』(とアウトテイク『Somewhere Else』)で終わり、1989年のサン・ラ・アーケストラは「Disney Odyssey Arkestra」と名乗ってライヴ活動を始めました。前年のオムニバス盤『Stay Awake』はハル・ウィルナーが企画・プロデュースしたディズニー映画のジャズ・カヴァー集で、アーケストラは『ダンボ』からの「Pink Elephant」を割り当てられましたが、サン・ラは初めてディズニーのアニメーション映画を観て深く感動し(特に迫害されて育ち大成する象のダンボをアメリカ黒人の暗喩と見たそうです)、バンドのレパートリーにディズニーのアニメーション映画曲を多く取り入れ、1989年初夏のヨーロッパのツアーは序盤と締めに定番曲を演奏し、大半はディズニー・アニメ曲を披露するステージになりました。

 ヨーロッパ・ツアー中、オーストリアの4月29日公演が地元オーストリアで自主制作プレスされたのがZUWレーベルからの『Other Thoughts』1993で、内容はステージからディズニー曲のみを集めたものでした。本作『Second Star to the Right (Salute to Walt Disney)』(Leo, 1995)はZUW盤と同内容ですが、サン・ラ没後リリースながら生前のサン・ラの意図に基づくリリースと、アーケストラ側が公式アルバムと認めているのはレオ盤の本作「ディズニーに敬礼」こと『Second Star To The Right (Salute to Walt Disney)』になるようです。レオはさらに同じ時のライヴから『Second Star~』未収録曲を選んで『Stardust from Tomorrow』1997をリリースしますが、「Disney Odyssey Arkestra」のコンセプトとしては『Second Star to the Right (Salute to Walt Disney)』の方が統一感ある選曲のライヴ・アルバムになっているといえるでしょう。ステージもメンバーがミッキーマウスの帽子をかぶり歌い踊るという楽しいもので、こういう素直に明るいアルバムがあるのもアーケストラの余裕を見るようです。メンバーに看板テナーのジョン・ギルモアが見当たらないのはこの頃から体調不良に陥っていったと伝えられるだけにツアー自体に同行しなかったのか、このステージではたまたま加わらなかったのか、マーシャル・アレンと並ぶアーケストラ創設最古参メンバーだけに気になりますが、このライヴのような合唱とアンサンブル中心のアレンジではギルモアの不在も気にならず、案外ギルモアの方から参加を辞退したのかもしれません。

(旧記事を手直しし、再掲載しました。)