ボローニャ、またはボロネーゼと言っても何てことなくこれも日本独自のアレンジだそうで、単にイタリアのボローニャ地方ではミートソースを使った料理が多いため、それをスパゲッティに和えるために乗せるとボローニャ風(ボロネーゼ)というだけのことだそうです。インドやインドネシアでは日本のカレールーを使った日本風カレー、レトルトカレーが何の抵抗もないどころか大好評のようですが、そこらへん自国の料理や郷土料理に妙にこだわりのある国とおおらかな国に違いがあるようで、日本でも寿司屋を始め外国の「日本料理店」を妙に揶揄する風潮がありますから他国のことは言えません。日本人の口に合ったイタリア風アレンジ料理として、子供から大人まで大好きな「ミートソーススパゲッティ」は大いに認められているのは間違いありません。これにパルメザン粉チーズをかけるともう絶品で、「一生お前に着いていってもいいぜ!」とすら思えます。
ところで飲食店での外食で「これは不味い!とても食えない!」とまで思わせられることはそう滅多にありませんが、筆者は学生時代とても不味くて食えたものではないミートソース・スパゲッティに遭遇したことがありました。住宅街にぽつりと開いた古書店のチェーン店でアルバイトしていた時のことですが、昼休みにもすぐ近くに飲食店がなく、片道7、8分かかるファミレスはありましたが、もっと近隣にランチをやっている喫茶店でもないかと探して行き着いたのは、民家の1階が喫茶店、しかもその家の主婦の方が片手間でやっているような店でした。そこでランチメニューを見てコーヒーつき600円のミートソース・スパゲッティを注文しましたが、一口食べて背筋が凍りました。挽き肉の臭みが鼻につき、ほとんど腐臭と言っていい臭さで、ミートソースの体をなしていないのです。おそらく市販の「自家製ミートソースの素」か何かで調理したものと思われますが、缶詰やレトルトのミートソースにすら及びもつかないどころか、吐き気がするほどの不味さでした。それでも食べねば午後からの仕事に支障をきたすので味覚を押し殺して食べましたが、試食すらしないか元来味覚に問題がある人が作ったミートソースとしか思えません。勉強代と思って代金を支払い退去しましたが、あの時の衝撃は今でも忘れられません。ちなみに掲載した近所のスーパーのミートソース・スパゲッティはたいへん美味しく、それだけにあのバグのような「とんでもなく不味いミートソース・スパゲッティ」は何だったのだろうかと思うのです。