お化け煙突、こと千住火力発電は、かつて東京都足立区に所在した東京電力の火力発電所に建てられていたそうです。隅田川沿いに立地し、大正15年(1926年)から昭和38年(1963年)まで稼働していたそうですから、実物をご覧になった方もすでに60代半ばを越えていらっしゃるでしょう。高さ80メートル、4本もの煙突は東西南北に対して菱形に建てられ、たとえば荒川を渡る国鉄路線からは角度によって4本のままに見えれもすれば、3本、2本、1本に重なって見えたといいます。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240128/14/fifth-of-july/33/19/j/o0492084415394642311.jpg?caw=800)
38年に渡る稼働期間よりも、すでに取り壊し後の歳月の方が長くなった「お化け煙突」ですが、映画や漫画の題材となったため、その存在は伝説として語られているのもむべなるかなと思えます。この景物の下でほぼ40年もの人々の生が営まれてきたと思うと、記録写真にすら感慨を覚えずにはいられません。どんな記憶も風化を免れませんが、歴史の一駒として語り継がれるうちは残ります。そういうものだと思えます。
*