今年もカップラーメン初め | 人生は野菜スープ~アエリエルのブログ、または午前0時&午後3時毎日更新の男

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元職・雑誌フリーライター。バツイチ独身。午前0時か午後3時に定期更新。主な内容は軽音楽(ジャズ、ロック)、文学(現代詩)の紹介・感想文です。ブロガーならぬ一介の閑人にて無内容・無知ご容赦ください。

 まだぎりぎり正月気分の年始一週間のうちに、「お食い初め」ではありませんがカップ麺くらい食べておくかというのも、バイオリズムの調整というものです。数えたわけではありませんが、たぶん筆者は年間を通して、ほぼ週に一食か十日に一食の頻度でカップ麺を食べているのではないでしょうか。筆者は特に贔屓の銘柄はなく、行きつけのディスカウント店やドラッグストアで特売になっているものがあればそれでよしとしています。美味しく食べられることもありますが、基本辛いものは苦手なので辛さを謳ってあるものは避け、特売で生麺タイプ(味つけ油揚げ麺ではないもの)があれば生麺タイプを優先します。食べても太らない体質なのでカロリーはあまり気にしませんが、カップ麺を食べる時はだいたい調理支度自体が面倒でもあれば、小腹は空いていても食欲はあまりないという時なので、気分で選べるように小ぶりなしょうゆラーメン・カレーラーメンからきつねうどん、天ぷらそば、ソース焼きそばまで、味つけ・サイズとも各種のものを備えておくことにしています。栄養学的にカップ麺を「Empty Foods」とする人にはわからない人生の機微がそこにもあって、初めてビジネスホテルやドライヴ・インでカップラーメンの自動販売機を見た時はなるほどなあと思いましたが、昔住んだアパートで毎朝玄関前の外廊下にカップラーメンの空き容器と割り箸を出している部屋があり、この部屋に住んでいる人は毎晩カップラーメンを食べているのか、それ以外の選択肢はないのかと悩ましい思いがしました。洗濯物やゴミ出しの様子から、どうもその部屋は本来どこかの工務店が借りていて、従業員が代わるがわる住んでいるようでした。結婚していた時を除いて、筆者が住んだ(住んでいる)アパートは、入居者は外国人か水商売、病人や一人暮らしの隠居老人、または肉体労働系人材会社の社員寮代わりと、現代的なアパートでなければかつてはゴーリキーの『どん底』(原作やジャン・ルノワールの映画化ではロシアの下町やパリ郊外の老朽家屋のシェアハウス、黒澤明の映画化では江戸時代の長屋)と変わらないような住人によって構成されているようでした。
 自炊でラーメンを調理するなら生ラーメンの袋麺に勝るものはなく、これは千切ったキャベツやモヤシ、玉子と一緒に茹でてドライフード野菜や乾燥桜海老に乾燥ワカメ、切り落としチャーシューやカニかまぼこやハムを乗せ、紅生姜やメンマを添えておろしニンニクや七味唐辛子か胡椒、ラー油や酢で好みの味に整えれば、料理らしい料理になります。しかしそれが面倒くさいゆえにカップラーメンで済ますのです。また袋麺ではむしろこちらの方が主流のインスタントラーメンもありますし、手抜きするだけ抜いてせめて玉子を落とすのと乾燥野菜やワカメ、ハムかカニかまぼこと桜海老、紅生姜やメンマを添えるまではがんばりたいところですが、生麺タイプ(急速乾燥麺、自然乾燥麺、急速冷凍麺)はともかく、インスタント麺では標準かつ主流の味つけ油揚げ麺タイプは標準茹で時間3分を過ぎても汁気を吸い続けて伸びてしまうので(生ラーメンも当然伸びますが、味つけ油揚げ麺ほど急速ではありません)、筆者のように調理がトロく、手早く手順が進まないのでますます調理中に食欲が減退してしまう鈍くさい人間にはひと苦労です。いわばカップ麺はそういう時に食べるものなので、この年初めのこれも、小ぶりな味つけ油揚げ麺のしょうゆラーメンに乾燥野菜・乾燥ネギ・ワカメ(乾燥ワカメはスプーン一杯で牛乳一瓶相当のミネラルを含みます)とメンマ、カニかまぼこを加えましたが、それはお湯を注ぐ前にトッピングできるので、沸騰したお湯を注いで3分、即食べ始められます。麺をほぐして食べながらチューブ入りおろしニンニクを加えれば、カップラーメンの限界程度に万年嵐子さんお好みの「野菜マシマシ、にんにくマシマシ」に近づけます。これも生活の智恵というか、こんなものでも「ひと手間レシピ」と言えるのか疑問ですが、おそらく夜食にカップラーメンを食べるたびにアパートの渡り廊下に空き容器を出し、勤務地に向かう途中で捨てていたであろう、かつてのアパートの隣人はその程度の「ひと手間」すらかける余地すらない、おそらく冷蔵庫すらない生活環境だったのだろうか(筆者がかつて結婚していた女性のお兄さん、つまりかつての義兄は公立高校の社会科教師でほぼ同時期に結婚しましたが、包丁やまな板どころか一切の調理器具を持っておらず、「男は料理なんかしなくても出来なくてもいいんだ!」という人でした)と思うと、ついつい普段より多めにカニかまぼこと乾燥ワカメ、メンマを添え、チューブ入りおろしニンニクを注いでしまいます。特にカニかまぼこの存在感たるや具材を足すには理想的で、食べごたえはもちろん、カップ麺自体がカニかまぼこの有無に左右されるほどのヴィジュアル的インパクトを放ちます。

 そこでメンマ(シナチク=支那竹)にちなんで、1982年リリースのデヴィッド・シルヴィアン&坂本龍一の両A面シングルを上げておきましょう。シルヴィアンがまだJAPANのリーダーだった頃の初ソロ(コラボレーション)・シングルで、共作者の坂本龍一以外はシルヴィアンの実弟スティーヴ・ジャンセンのドラムス、プロデューサーのスティーヴ・ナイによるイクイップメントで制作されています。40年前のこのシングルは楽曲としてはともかく、サウンドは悲惨なほどに古びていますが、完膚なきまでに古びてしまったことで、逆に今聴いてこそ面白いというリスナーもいらっしゃるかもしれません。