ラサーン・ローランド・カーク Rahsaan Roland Kirk - シーズンズ Seasons a) One Mind Winter/Summer b) Ninth Ghost (from the album "Prepare Thyself To Deal with A Miracle", Atlantic SD 1640, 1973) :
Released by Atlantic Records SD 1640, May 23, 1973
Horns & Strings arrangement by Rahsaan Roland Kirk
[ Personnel ]
Rahsaan Roland Kirk - flute, nose flute
Charles McGhee - trumpet, Harry Smith - english horn, oboe, Dick Griffin - trombone, Ron Burton - piano, Henry Pearson - bass, Robert Shy - drums, Sonny Brown & Ralph MacDonald - percussion, Sanford Allen, Julien Barber, Selwart Clarke & Gayle Dickinson - violin, Al Brown - viola, Kermit Moore - cello
ラサーン・ローランド・カーク(1935or1936-1977)のアトランティック・レコーズ8作目にして通算第22作目のアルバム『Prepare Thyself To Deal with A Miracle』はいつも通りカーク得意の一人サックス三重奏やフルート&ノーズ・フルート二重奏が聴けるアルバムですが、オリジナル曲はすべて組曲構成を取っており、さらに金管楽器奏者三人、弦楽器セクション六人の編成で迫る、現代音楽的かつソウル・ジャズ色も濃厚という異色の実験的アルバムになっています。アルバムB面ではノンブレス(循環呼吸法、サーキュラー・ブレージング)で20分間息継ぎなしという驚異的なサックス演奏が聴けますが、アルバム冒頭の曲が今回ご紹介する「Seasons a) One Mind Winter/Summer b) Ninth Ghost」~無伴奏ソロの「One Mind Winter」から管弦楽が入る「Summer」になり、さらに楽想が変わって「Ninth Ghost」が展開される組曲になっており、とても2年後には脳卒中による右半身麻痺(それでも楽器を改造し、車椅子で左手のみによりライヴ&レコーディング活動を続けます)、4年後にはライヴ後に急逝してしまうとは思えないほど絶頂期のカークが聴けます。
恐ろしいのはこの曲もスタジオ録音前にライヴ・レパートリーとして演奏されていることで、スイスのモントルー・ジャズ祭でのライヴはCDでは完全版、DVDのライヴ映像ではやや短く編集されていますが、撮影上のトラブルによるものでしょう。ライヴではもちろん管弦楽抜きの、ヴァイブレーション・ソサエティーのメンバーのみをバックにしたライヴが聴け(観られ)ます。カークはもともと本国アメリカよりイギリス(1963年「Melody Maker」誌国際ジャズマン賞受賞)とヨーロッパ諸国で認められ、国外での人気の方が高かった人ですが、プログレッシヴ・ロックやハード・ロックなどブリティッシュ・ロックに強い影響を与えたジャズマンなのを証明するような楽曲・演奏です。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20200830/14/fifth-of-july/91/33/j/o0300029714811942260.jpg?caw=800)
Rahsaan Roland Kirk - flute, nose flute, siren whistle, slide whistle, whistle
Ron Burton - piano
Henry "Pete" Pearson - bass
Robert Shy - drums
Joe Habano Texidor - tambourine
(旧記事を手直しし、再掲載しました。)