リビアの後悔 | フィフィ オフィシャルブログ「All about FIFI」by Ameba

リビアの後悔


数日間落ち込んでいる父の姿をみて、先ほど、父がどのような映像を目にしたのか、ネットで確かめました。見なくても何が映ってるかなんて想像できたからあえて見るのを避けてただけなんだけどね。
それは、カダフィが殺害される直前の負傷し、血だらけで連行される映像。
父はアラブのニュースをちくいちネットで視聴してますのでとても早くその詳細を入手しています。
犯罪者であれ、なんであれ、人の子として生まれてきたのならその、尊厳は守られるべきであり、宗教を重んじるならばなおさら、どの宗教、宗派であっても、その死に様に最低限の、本人が望む施しは当然で。
世界の人がイスラムは野蛮なのではないかとあえて誤解を招くような殺害映像に仕立てられているのが残念で。また、人間を虫けらのように殺害し、その遺体すら乱雑に扱う様子が繰り返しメディアで流されている事に、正直、言葉を失った。この結末に多くのアラブ人が歓喜しているなどと報道されているが、アラブ人でも流石にこのやり方には納得もいってないし、違和感を感じている。
他国からの空爆にあい負傷したカダフィを、(というか、そもそもドイツ軍は拘束する直前まで彼の足取りを掴んでいた発表)その直後に拘束していますが、あの映像は、偶然にしては鮮明すぎる記録映像で、携帯などでとっさに撮影した映像とは考えにくい。
拘束した直後血だらけのカダフィは、地元の人間に囲まれていますが後半に映る他国の軍服を着た若い兵士が気になる。二人ほど軍服を着た兵士がカダフィを車に乗せるよう促しているが、私は軍服マニアではないのでどこの国か断定はしたくない。
いずれにせよ、イスラムでは処刑であってもそこにお坊さんが出向いてコーランを唱え、また、本人の望みや遺言を聞き、その後に執行するわけだし、遺体も遺族に送られる。もちろんそれは本人が犯した罪を認識しそれを受け入れた上であり、この様な野蛮なやり方はまかり通る物ではない。
これではまるで、殺害直後に海に投げ捨てられたビンラディンや、ろくに裁判もせずに処刑したサダムフセインと同じやり方じゃないか?
繰り返しになりますが、私はニュースもネットに氾濫する情報も鵜呑みにはしない。だから今でも問いたい、問い続けたい。カダフィは、誰に殺されたのか。まるで、民衆の手で民衆の望む方法で裁かれた様に描かれている事がかえって不自然で、カダフィのことはさっさと終わらせて次のシナリオに移りたい慌しさを感じる。
そして、悲しいかな、アラブの国々は腐っている。特に産油国などは、もはやアラブと言うにふさわしくないほど自己中心的でその政治は腐敗している。金持ちでありながら、アラブの貧しい国々や問題に目をつぶって他国に入る隙を与えていることに強い憤りを感じる。彼らがこんな態度なら他の国々にとやかく言われても当然なのかもしれない。同じアラブ人がアラブを助けず、それどころか西側と手を組んで追い詰めてきたのだから。情けない。
リビアに春は訪れない。むしろリビアはこの様な形でカダフィを失脚させた事で、いままで以上の苦痛を国民は味わうだろう。これから出来る新政権は本当にリビア国民のための政権となるだろうか?
アラブ諸国で起きていたデモは国民が、その恩恵を国から受ける事ができなかったことに大きな要因があるが、
リビアの国民はカダフィ政権の下で決して貧しくはなかった。ベドウィンあがりのカダフィの振る舞いにこれまで国民が嫌悪感を持つことも無かった。ただ、隣国が市民革命によって独裁政権を倒した事に、リビア国民も同調する形になって。
でも、今後カダフィの死が検証されていく中で、国民がそれをどう受け止め、どう感じるだろうか。当初、遺体は埋葬場所を発表しないとのことだった。それ自体が異例なこと。カダフィと同じタイミングで殺された息子や側近の遺体も同じ致命傷があることも不可解だ。
これが、リビアの望んだ形なのだろうか?どうせ、このあと続々と石油の利権を狙って大国がアプローチしてくるわけで、まぁ、それもすでにはじまっているわけで。
リビア国民にとって、カダフィの存在がなんであったのか、改めて考えさせられる日がきっとくるにちがいない。


追伸…
米共和党マケイン上院議員が「リビアでの軍事作戦も終わったから、そろそろシリアの市民を護るための軍事作戦の検討に焦点を移すのもありうる」と発言。今のところオバマ政権はシリアへ軍事介入する姿勢は見せていない。

アメリカは自分の心配だけしてろ。と言いたい。
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