彼女が誘拐されたワケ | フィフィ オフィシャルブログ「All about FIFI」by Ameba

彼女が誘拐されたワケ

今朝は4時起きで名古屋の生番組出演を終えて、今帰宅しましたが、子供が戻るまでの貴重な数時間、本当なら体を休めたいところですが、どうしてもブログで説明したいことがあり、PCの前に座りました。

先週のニュースで、、

●エジプトの首都カイロで5月7日、キリスト教コプト教会信徒とイスラム教徒の間で抗争が発生、国営テレビによると12人が死亡、232人が負傷した。
 イスラム教徒の群衆数百人がコプト派聖メナ教会に押し掛け、イスラム教に改宗したコプト教聖職者の女性が行方不明になったが、「教会が女性を誘拐した」ためと抗議。これにコプト側が反発、信者が教会を守るために集合した。
 問題の女性がコプトキリスト側によって教会内に監禁されたためイスラム教徒側が憤りを強め、衝突に発展した。
 双方は銃を撃ち合い、火炎瓶や石を投げ合った。同教会ともう1カ所の教会が放火された。ただ、双方が協力して消火に努めたとの情報もある。190人が逮捕され、200人が軍事法廷で裁判に掛けられる、という。
 イスラム教国エジプトで、国民の10%弱がコプト教信者。国内での宗教対立は近年、増加傾向にある。カイロでは3月にも両教徒の衝突があり13人が死亡している。ただ一連の抗争は宗教間の対立ではなく、反革命勢力による扇動との見方もある。
 


上記のニュースが日本のメディアで伝えられましたが、実際の文章はもっとわかり難くなぜこのような事態に発展したのか解説が無いため、単純に宗対立と誤解を招くような内容でした。この事件が何故起きたのか解説すると同時に私の意見を述べさせて頂きます。

まずここに登場するコプトキリストとは古いキリスト教の宗派で、実は世界を見ても非常に少数派である。むしろエジプトにしか残っていないのではと思われるくらいで、それはキリストの他の宗派から現在社会にそぐわないスタイルとして淘汰され、減少していったからであり、エジプトに今も残るとゆう意味では決してエジプト国民の多くを占めるイスラム教徒が、コプトキリストを締め出しているとは言えない証拠でもある。
 このコプトキリストの特徴の一つに、離婚を認めないとゆうのがあるのだが、これが今回の問題の大きな引き金になっている。キリストの多くの宗派ももちろんイスラムも離婚は認めている。しかしコプトキリストにおいて離婚が認められるケースは極めて難しく、現状として一度結婚したら、一生夫婦でなければいけないのだ。これはかなりキツイ。結婚なんて蓋を開いて見なければ分からないわけで、明らかにハズレくじ引いたと思ってもその結婚生活に一生苦しまなければならなくなる。
 今回、コプトキリストである女性がイスラムに改宗したことで、コプトキリスト教徒の怒りをかって誘拐され、教会に監禁されとゆう問題が起きたわけだが、なぜ彼女は自らの意思でイスラムに改宗したのか?
 その理由は、イスラムに改宗すれば、夫との間にトラブルが起きたとき離婚とゆう選択肢がある、要するに離婚する権利を得るためにはコプトキリストからなんらかの宗教に改宗するのが必然と考えたからだ。実は彼女、コプトキリストである夫による暴力に長い間苦しめられていて、実母の家に逃げ帰り子供とともに隠れるように別居生活を送っていた、夫と離婚をするにもコプトキリストである彼女にはそれが許されない、そのためイスラムに改宗し、夫に離婚を請求したところ、この問題に発展したというわけだ。ではなぜイスラムに?彼女は別居生活中に専門学校に通い始め、その際に打ち解けた仲間たちがたまたまイスラムであっただけ。国民の大半がイスラム教徒であるエジプトなので不思議なことではない。
コプトキリストの中には彼女のように離婚を選択できる権利を得るために他宗教への改宗を望む女性が少なくない。
 イスラムは事あるごとに女性が虐げられているとメディアで報道されるが、本来はそのような弾圧は無く、たとえば結婚の際に離婚後の男性からの生活保証を取り決める婚前契約をするなど、女性が社会的に弱い立場に置かれないような配慮もされている。もちろんどの社会でも男性のエゴによって女性が不利におかれることはある。
例えば一夫多妻制度。これは戦時下において未亡人を裕福な男性が養う義務があるとした女性を守る社会制度であって、現在のイスラム社会においては、ほぼ不必要であっていいと言える。一部裕福な男性が自分のエゴを満たす為に一夫多妻を取り入れている事とイスラム本来の思想とは別である事を理解して頂きたい。
 イスラムの男性がどの宗教の女性とも結婚できるのに対し、イスラムの女性は相手の男性にイスラムへの改宗を促している。それは離婚が認められない宗教の男性と結婚した後に、トラブルが起きて女性が離婚をしたくてもできないとゆう事態を避けるためでもあって、決してイスラム人口の増加を狙った為だけではない。
 
イスラムに改宗し離婚を請求した彼女、離婚を認めてもらえず家を出たがその直後にコプトキリスト側に誘拐される。そして所在を特定されないように各地の教会をたらい回しにされる形で監禁される。これに怒ったイスラム教徒が教会に女性の解放を求めたが教会側は彼女を開放しない、そしてニュースで報道された衝突が起きたのである。
この騒動、宗教対立問題と摩り替えられることで、イスラムによって弾圧を受けたとの主張をしたいコプトキリストとしてはよい材料となったはずだ。
 でも、そもそも女性に離婚する選択肢を与えない戒律があることがこのような問題を生んでいるのに…監禁に関しても、実は今回が稀ではく、普段から懺悔と称して協会の判断でコプトキリストの女性は拘束され教会内で監禁されることが日常行われているわけで、こんな報道じゃ、肝心な人権問題は覆いかぶされたまま、苦しんでいる女性は浮かばれない。
 これらはエジプトで昔から問題視されているのだが、これに対してエジプトの政府が指摘をすると、欧米のキリスト宗派から宗教弾圧だと声が上がり、エジプト政府はこの問題に対して黙視するほかなかった。
 ではなぜ同じキリストの宗派がコプトキリストに対し改善を促さないか?
 まぁ、これによって問題が起きる→イスラムとの宗教対立、または宗教弾圧が起きたと報じる→イスラムに対する誤解を生んでイスラムのイメージが悪くなる。要は、この問題は時として国際政治において都合よく利用できるわけで…本腰入れて問題解決に取り組もうとは思わないわけですよ。

 エジプトに暮らす母も常々言ってますが、コプトキリストの女性たちは本当に悲惨な状態にある。結婚して問題が生じても離婚ができず、それに逆らえば教会に連れて行かれ、改心するまで自由を奪われる。
 欧米各国もイスラムの女性の人権がどうの、こうのって非難する前に、自分の宗教の女性たちを救ってあげたらいいのに。
 
 また特に注意して頂きたいのは、このような問題を報道をする際の報道姿勢。今回のように中途半端な報道ではイスラムに対する誤解を生んでしまうし、それ以上に根本にあるコプトキリストの女性の権利問題が見えてこないままで終わってしまう。日本の報道がいかに自らの発信では無く欧米からの垂れ流し程度であるかが良く分かる。国際情勢における報道においては特にこれが目に余る。これではニュースを聞いても何が起きているのかさっぱり伝わらないはずだ。単純にエジプトの反政府デモの流れで捉えて、暴徒化したイスラム教徒がキリスト教会を襲撃したんだろうなと解釈した人も多いはず。
 ニュースは報道する前に、まずは報道する側が内容を理解した上で伝えて欲しい。今回の報道で『まぁ、そんなに日本人に関係ないし』ってゆう報道する側の姿勢が見えてしまって非常に残念。きっと報道する側も実際何が起きているかなんて分かってないんだろうな…その程度にしか報道する気がないなら、正直報道してくれないほうが有難いんだけど。
 報道にたずさわる人間としてプライドを持っているなら、もっと人々に熱意を感じるような報道のあり方に努めるべきだと思う。海外のニュースをそのまま流すなら下手な解釈で流すよりCNN垂れ流しにしてくれる方がマシ。でも本当に大事なのはニュースを受け取る側が理解できる情報の伝達だと思う。本気でニュースを伝える気があるのだろうか?
せめて初心に返ってくれたら…
これはこのニュースに限ったことではなく、今のマスメディアが突き付けられた大きな課題のような気がする。