35GTR用デフ・ミッションクーラーの製作取り付けです。
昨年3月に、フィールドシップ走行会をオートポリスで開催しましたが
参加車両の内35GTRが3台、なかなか迫力の有る走りを見せて頂きました。
走行会終了時に、ご参加頂いた皆様にコメントを頂くのですが、35GTR
ユーザーから頂いたコメントは・・・・
「ミッションの油温が走行開始から4~5週目で120℃を超て
クーリングしても1・2週走行すると又上がってストレスが
溜まって走れないんです・・・」
とのコメントを頂きました。
35GTRのミッションは、従来のGTRとは違いセミ・オートマトランスミッション
動力伝達は、ミッションデフ一体式で車両後部に取り付けされていて、
エンジン・クラッチから、カーボンプロペラシャフト、ミッションへと
伝達されています。
クーリングは、ミッションに水冷式オイルクーラーが取り付けられています。
水冷式にしているのは、エンジン冷却水を使用してミッションの暖機促進を行う、
エンジン暖機が終了すれば、ミッションも暖機状態に近ずくように又、
ミッションオイルが高温に成れば冷却水でオイルを冷やす、熱交換する為に
水冷式にしたのです。
湿式クラッチやシフトソレノイドと言った電子制御部品はミッションECUで細かく
制御しているのですが冷機時(油温が低い)は、オイル粘度は高くオイルが固くなり
クラッチは滑りやすくソレノイドバルブは作動時間が長くなってしまい、
シフトタイミングの遅れや変速ショックなどの不具合が発生します、
それらを改善する為暖機促進が必要なのです。
ミッションオイルの温度が上昇すると、エンジン水温は設定の約86℃に
保たれる為ミッションオイルは冷却されます、しかしスポーツ走行や
外気温の高い日の高速走行時にはクーリングが間に合わず1度ミッションオイルの
温度が上昇してしまうと、クーリング走行を行ってもなかなか油温が下がらない
状態が発生してしまいます。
以上のような機能性のご説明をしたのですが、何とかしたいとの事でした。
数日後、デフクーラーのご相談を受け、製作に向け設計開始。
ミッションオイルの上昇はデフからの熱量の影響が多い為デフクーラー
を取り付ける予定でしたが、直接ミッションオイルも冷却させる方法と
2種類を検討、結果として、デフのみのクーリングでは間に合わないと判断し
ミッション用クーラーとデフクーラー両方の製作に入りました。
今回ご紹介するのは、デフクーラー及びミッションクーラーの製作取り付けです。
車両への取り付け位置ですが、スペースが少なくクーリングの熱量を
考えデフクーラーはコアを2個にすることでスペースを確保しました。
デフクーラーにはこのコアを2個使用します、
リヤアクスルメンバー上に1個、
リヤバンパー下部に1個・・・
写真はクーラコアとデフメンバー部取り付けステーです。
7mmアルミ50系の削り出しです。
リヤバンパーホースメントに潤滑用のオイルポンプを
2個(デフ用、ミッション用)取り付けしました。
コアサイズは、オイルポンプとの比較でお解かりになれると思います。
オイルポンプ取り付け用ステー2本、アルミ削り出し。
オイルポンプ2個をレインホースに取り付け、ポンプ用オイル配管終了です。
デフ部のレイアウト、配管の状態が解ると思います。
デフのオイルドレーン部分にオイル取り出し用フィッティング取り付け
専用フィッティングです。
デフの下にはカーボンディフューザーが取り付けされる為
通常のフィッティングは干渉して使用出来ません。
サスペンションメンバーに取り付けたクーラーコアは、センターディフューザーから
デフ冷却フィン用に取り込まれた冷気によってコアのクーリングをします。
ディフューザー上部には純正でフィン冷却用の導風板が取り付けされています。
さすがにメーカーはしっかりした作り込みしていますね。
2個目のコアをバンパー下に取り付けです、こちらは、ディフューザー取り付け
ステーを利用しての取り付けです。
ステーとコアの取り付けは、アルミブロックを削り出しで
製作して取り付けしました。
コアの重量を考えるとステーの補強も兼ねてモノブロックにしました。
バンパー部分にはメーンマフラーからの熱が、かなりこもる為
遮熱板と導風板を兼ねたアルミプレートを製作しました。
プレートの上下には耐熱シートを貼り付けしています。
プレートの取り付けは、コア取り付け用アルミブロックとメンバーから
専用ステーを吊り下げ式で取り付けします。
出来るだけ遮熱効果を上げる為にマフラーパイプ部も遮熱しました
アルミプレートの上側はマフラーの熱を遮断し、下側はバンパー部
に取り付けたクーラーコアに風を送り込む導風板にと、そして
マフラーパイプ部は約25mmのすき間からマフラーの熱を
リアバンパーダクトへと送り出す為の風を取り込みます。
デフクーラー廻りが大体終了しました、ミッションクーラーの
取り付けに入っていきます。
R35GTRのミッションはオートマチックトランスミッションの
ようなオイルパンを持ちミッション内部のポンプはオイルパンに
溜まっているオイルをストレーナから吸い上げています。
オイルパン形状と内部のストレーナーとコントロールバルブユニット
の形状を元に、オイルパンの車両右側の後方からオイルを取り出し
前方からオイルを戻すようにしました。
ホース取り付け用のアダプターを製作取り付けしました。
フィッティング、ホースの取り付け状態です。
オイルパンにはドレンボルトが有りますが、2重構造になっており
一定量以上オイルが入ると内部の通路から余分に入ったオイルが
出てくる仕組みです。
ドレンとレベルゲージを一つにまとめた構造なのです。
写真のホースとホースの間にある銀色のボルトがドレンボルトです。
オイルパン手前に有る丸い凹み2個の部分には内部に磁石が2個
取り付けられています、これはオイル内の鉄粉を吸い寄せてミッション内部の
狭い通路を詰まらせたり、コントロールバルブの誤作動を防ぐためです。
オイルパンが終了し、いよいよミッションクーラーコアの取り付けです。