虫顔これくしょん No.19 | 弘前大学 フィールドサイエンス研究会(F研)

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弘前大学公認サークル「フィールドサイエンス研究会」(F研)のブログです。 弘前大学を拠点に,海・川・山林で生物の観察や採集をしています。
毎週月曜日18:00~農生棟203で定例会を行っています。

 お久しぶりです、佐藤 (仁) です。
 先日卒業式に出席しました。自分は大好きなヤママユカラー・山吹色の振袖で参加して、そのことを友人に伝えたら「そ、そっかぁ……(^^;)(汗)」と……。
 どうやら一言余計だったようです。
 (実は成人式の振袖もオオミズアオのカラーリングで選んでました。すみませんでした。)
 

 さて、今回からはスズメガ科の虫顔です!森林を駆け抜けるちびステルス!
 これも数が多いので、2回に分けます。
 

 最初の子はクロテンケンモンスズメ (Kentrochrysalis consimilis) です。
 
 
 複眼の間の額 (?) が、黒と灰白色の2色で構成されていますね。前回までのヤママユガ科他と違い、顔が2色で構成される種がみられます。
 今後は額 (?) の色にも注目してみてください。
 
 ところでこの子の属名「Kentrochrysalis」、この語は「Kentro」と「chrysalis」に分けられます。
 この「Kentro」は「刺す」という意味のラテン語だそうです。(後ろの「chrysalis」は「蛹」を意味するラテン語のようです。英単語にもありますね。)
 んで、Kentro な chrysalis とはどういうことか、というと、この種の蛹 (の殻) の尾部が鋭く尖っており、恐らくそのことを指しているのだと思います。
 (詳しくはリンク先の画像を見てみてね。)
 

 次はクチバスズメ (Marumba sperchius) です。
 薄いココア色が渋カワイイ。
 
 
 この種はスズメガ科の中でも「ウチスズメ亜科」というグループに分けられ、この亜科では口吻をもたない種が多く見られます。
 しかし、飛翔筋がモノを言う (?) はずのスズメガでエネルギー源を得られないというのは、かなり致命傷というか、よろしくないというか……。
 せっかくよく飛べる体つきになったのに、エサをとらずに生殖に全力を注ごうとしたのは何故なのでしょう ?
 

 次は家スズメことウチスズメ (Smerinthus planus) です (何のひねりもありません)。
 こげ茶色一色のふわふわなお顔の持ち主。
 
 
 この種は三兄弟で、長男のウチスズメ (S. planus) ・次男のヒメウチスズメ (S. caecus) ・三男のコウチスズメ (S. tokyonis) で構成されています。
 ……まぁ、兄弟構成は冗談です。 (サイズで判断しました。地理的・遺伝子的な関係は考慮していません。)
 長男は北海道~対馬、三男は本州~対馬まで生息しているのに対し、次男だけは北海道の東側に生息しています。
 国外だと、次男はユーラシア大陸全域で見られ、長男が中国・朝鮮・モンゴル・バイカル湖あたりで見られ、三男は日本固有種 (日本でのみ見られる) とのことなので、恐らく遺伝子というか、分化した順番は
次男→長男→三男、かな……?
自分は進化・分類学は専門外です。誰か助けて……。
 

 さてこのページのトリはエゾスズメ (Phyllosphingia dissimilis) です。
 黒めのお顔で、おっとりした表情です。
 

 由緒ある図鑑でも体色が「チョコレート色」と形容されています。かわいい。スイーツ系スズメ……。
 翅の形が特殊で、翅をたたんで停まる時に、前翅前縁から後翅がはみ出ます。
 後翅が幅広なんですね。
 
 
 

 ……ということで今回はここまで。
 次回はさらに強烈なメンバーが出てきます!
 多分!!!
 
 
 
 
 
文責: (卒業式後の祝賀会でパーティードレスを着なかった) 佐藤 (仁) (持ってなかったんです……ごめんなさい)