「季節ソング」を作ろう | 池袋フィールドのブログ

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ライブハウス 池袋フィールドです。
アーティストとしても活動中の店長・山石敬之が
日々の出会いやエピソードを語っていきます。

私は季節やシチュエーションごとの曲を作る事を勧めている。
春には「桜ソング」「卒業ソング」を。梅雨時の「雨歌」。
「夏歌」「海歌」「台風ソング」。
秋には「枯葉や落葉、紅葉ソング」、しみじみとした「秋歌」を。
そして「クリスマスソング」に「雪歌」、「冬歌」。
どうだろう、これだけでも随分書けるはず。

 

季節ソングは、演奏時期が限られ、
勿体無い気がするかもしれないが、
イメージが湧きやすく、作るのは楽しいはず。
それにステージに色を添えられ大変便利。
季節ごとにその曲を楽しみに来てくれる人をゲット出来れば、
かなりの強みにもなる。
言い方を変えれば、「季節ソング」は自分のためじゃ無く、
来て下さるお客様への贈り物、と考えて欲しい。
しかしその季節真っ最中に作ると、演奏は来年になってしまうので、
出来れば早目にイメージして作っておきたい。
作れば間違いなく演奏が待ち遠しくなる。
「プレゼント」は贈る側も楽しいものだ。

 

特に「桜ソング」と「クリスマスソング」は、
アーティストなら一曲は持っていたい。
「桜ソング」の場合、「和旋律」を使用すると雰囲気が出る。
この「和旋律」はヒットしやすいという説もあり、
チャレンジしておいて損は無い。
そして桜の咲く様、散る様は日本人の原風景の代表だ。
間違いなく人を惹きつける力があるので、
そこにどんな想いを乗せるのかをひと工夫しよう。
「別れ」「卒業」「旅立ち」「歳月」「思い出」
キーワードは様々だ。
一方「クリスマスソング」は、美しく仕上げたい。
一瞬で人を「切ない世界」へと連れて行ける。
先輩方の築き上げたものに乗っかってしまおう。
恋愛系にまとめるのが普通だが、
家族愛や世界平和、幸せを祈る、という
ちょっと風呂敷を広げても、違和感の無いカテゴリーだ。
ストレートに作るのも良いが、
テンションの効いたコード進行を工夫し、
荘厳な雰囲気を作れれば、そこはもう壮麗でキラメク世界だ。
演奏する側も身が引き締まる、そんな名曲を作って欲しい。

 

曲作りは本来自分の立ち位置をしっかりと持ち、
そこから伝えたいメッセージを発信して行く。
しかしその周辺にこの「季節ソング」や「シチュエーションソング」を
散りばめる事で、ステージに奥行きや深さが出る。
バラエティーを持つ事は、アーティストの懐の深さの現れだ。
オーディエンスを一瞬で別世界へと連れて行く、
そんな「魔力」が音楽にはある。
そしてそれが出来ればもうオーディエンスは君の物だ。
そんな「魔法」の手助けにもきっとなってくれるだろう。
また、もし曲作りに煮詰まった時の脱出法としても有効だ。
それぞれ一曲しか作っちゃいけない訳でも無いしね。
美しい四季を持つ日本人ならではの感性を活かして、
創作活動を豊かにして行って欲しい。

 

曲作りはアーティストの原点だ。
唄がちょっと上手い、ギターが結構弾ける、だけで
活動を始めた人にとっては苦しいものかもしれないが、
本来は湧き出る感性を形に収め、伝えたい想いをパッケージし、
世の中に送り出したい、という強い欲求が無ければ、
アーティスト活動を続けるのは難しい。
それでも作り続ける中で、「自分のメロディー」にたどり着ければ、
想いを形にする力は早晩身に付く。
それを後押しする意味でも「季節ソング」はお勧めだ。
ぜひ、チャレンジしてみて欲しい。
曲作りは苦しいものだが、出来上がった喜びもまた大きい。
精査して精査して、ブラッシュアップを繰り返した先に、
輝く「作品」が仕上がる。
そうしてどうか、ライブハウスに桜を満開にし、
雪を降らせ、潮風を吹かせてみてくれ。