真夜中のモスク | fidealのブログ

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トルコ南東部の都市、ディヤルバクルからイラン

 

国境近くドーバヤジットまでの夜行バスは、20時

 

きっかりに出発した。

 

 

その道中、ベレー帽を被った、トルコ軍の特殊部隊

 

による三度の検問を受けたが、トルコの夜行バスで

 

検問やパスポートチェックはよくあることであった

 

ので、気にも留めていなかったが、三度目の検問を

 

終えて、そのまま目的地まで出発できると思った

 

矢先、それより先への道が、軍によって封鎖されて

 

いました。

 

 

ディヤルバクルから、ドーバヤジットは直線で300

 

Km強の道程でしたが、山岳地帯を走るので、ドーバ

 

ヤジットまでは翌日早朝に到着予定でした。

 

 

急ぐ旅ではありませんでしたが、このまま封鎖が解除

 

されなければ、場合によっては、バスの中で一晩明か

 

さなくてはならないだろうと、半分覚悟をきめていた

 

とき、夜行バスの運転手兼オーナーの男性(写真中央)

 

が、すぐに機転を利かせて、近くのモスクまでバスを

 

Uターンさせ、封鎖が解除されるまでそこで休むこと

 

ができました。

 

 

バスの運転手にしてみれば、道路封鎖など日常的なこと

 

のようで、とても手慣れた対応でした。

 

暫くすると、12歳くらいの男の子がやってきて、バス

 

の運転手と談笑を始めました。

 

最初は辺鄙な真夜中の小さなモスクに、どうして子供が

 

いるのか不思議でしたが、運転手からその子の年齢が

 

22歳の青年と聞かされ、とてもびっくりしてしまいま

 

した。

 

高い声で話をするその青年の姿は、仄暗いモスクの中で

 

妖精のようにも見えて、果たしてここは現実の世界なの

 

か、それとも旅の疲れでいつの間にか眠りに落ちてしま

 

い、目が覚めた時は、自分はまた夜行バスに揺られてい

 

るのではないかと思わせるような、不思議な夜でした。

 

 

やがて道路の封鎖が解除され、再び乗客がバスに乗り

 

込み出発しようとしたとき、バスのマイクをとった青年

 

の激励するような高い声が車内に響き渡り、それに応え

 

るような乗客たちの拍手と、再出発を喚起するような、

 

力強いディーゼルエンジン始動の振動が心に共鳴し、

 

これは夢でなないということを悟ったのです。