今回はちょっと真面目なお話。
先日、千葉県の精神科病棟の暴力のニュースを拝見しました。
私も精神科病棟に3年勤めました。
世間ではいろんな物議が出ていますが、精神科で働いた経験がある私の考えなので。
いろんな意見があるとおもいます。
まずは映像をみた最初の感想。
モニター管理しているということは、行動把握が必要であり実施していることを
スタッフは知っているのにその中で暴力に至るとなると相当な図太い神経だと思う。
なぜならそれがなにかあれば決定的な証拠になると知っているからです。
そして同じ精神科の看護師として恥ずかしいし最低だと思いました。
しかし、私がイライラしたのは精神科医療の現場を知らない人たちがコメントする内容です。
確かに暴力は反対です。
私も仕事をしててなにくそー!と何度思ったことか。
それがあなたの仕事ですと言われたらぐうの音も出ない感じですが。
でも、人間対人間のかかわりなんです、可愛さもあれば憎さだってあります。
テレビやネットをみると、ただただ、悲しくなりました。
一つ一つきになった言葉を抜粋して私の答えをかくと、
★「精神科ではこういうことが日常的に起きている。透明化しなければいけない、家族もテレビでみれるとか。私が聞いた話では面会だって断られる、それはおかしい」
→日常的に行われていません。確かに隔離拘束というものもありますし、私のいた病棟ではスタッフからの暴力は一切ありませんでした。そして面会を断るんじゃなくてね、刺激を減らした静かな環境での安静が必要な場合、面会を断ったり、時間を短くしたりして対応しています。そして、患者がその日会いたくないと言えば、スタッフは今は病状のため会うことはできないと建前上伝えたりします(つまり患者が知られたくないという意思を伝えることは難しいので、あくまでも治療上のと伝えます)
★「カメラでみるとおとなしくベッドに座っているだけに思えるのに、なんで看護師2人でいって、無理やり押し倒しておむつを替えるのか、すこしも暴れていないじゃないか」
→音声がないので当時の言葉のやり取りはわかりません。なので、なんともいえません。でも、保護室に入っている、若い男性。その2つの情報から考えると、病状が悪く保護室に入りモニター下に置かなけれならない状態だったと仮定します。もし暴力歴や攻撃性があったとしたら、そして保護室という逃げ場がドア一か所の狭い空間、そして若い男性は力もある・・・そんな相手に一人で丸腰であなたはいけますか?精神科では暴力への対応マニュアルを勉強します。2人でいく、それは自分の身を守る行動なのです。私は身長が約150ぐらいで、身長も高い、男性、若い人で病状も安定しない、暴力リスクや攻撃性もある患者の前に一人では絶対に行きませんでした。仕事だろ?って言われればそこまでですが、そんな患者が急に暴れたら私一人で対応できると思いますか?そんな人が部屋から急に飛び出して他の患者さんに危害を加える結果が私のなかで最悪の想定です。それを回避するための手段は必要ですよね。
それにおむつ交換だって嫌がるひとはいます、でもそれがパンパンで異臭もすごくて、変えたいけれど拒否が強い患者だったら、抑えてでも換えます。衛生的にも精神的に、看護の視点からしても、必要なことです。それすらも自分でかえない、かえられない人がいます。それを放置するほうが問題だと思います。
★「精神科の病床数は全国で30万ある。ほとんど経営が苦しいのか、長く入院させようとする医師が多い」
→ハイすとーぷ!!!まず精神科の薬の効果がでてくるのが3ヵ月ぐらいかかるのです!内科の薬みたく結果が数値ではなかなかでません、降圧剤のんだら血圧が下がるとか、血糖値が下がるとか、痛みが取れるとかそいう薬はありません。精神科は何となく聞いてきたなって思えることが大切です。そんながっつーん!って治る薬があればだれもが治ります。精神科の薬は病気の波によって薬の量が増減したり種類が変わったりと繊細なところを治療します。それに長く病院に居ればいるほど、病院は儲かりません、勉強して出直してくださいとテレビのコメンテーターに言いたかった。ベッドの回転率を上げるほうがより点数を稼げるんですよ。長く入院させたいんじゃない、儲けたいんじゃない、精神科がビンボーなのはそこにあると思います。
★「薬付けにする。なんでもかんでも薬を増やすから調子が悪くなる」
→はい、まって。確かにそういわれることもあるかもしれません。が、私の働いていた病棟では、そんなことはなかった。たしかに病状が悪く一時的にがっつりはいることもあります、が!!!大体は内科や外科の精神科の薬に詳しくない医師が眠れないとかあの患者不穏行動多いから追加するかとどんどん向精神薬をつかったりした結果、過鎮静になっていることが多かったです。そのため、そこから少しずつ減らしていかないと離脱症状がでてしまったり。またこんなに薬いらんと勝手に精神科の薬を全部切ってしまって病状悪化なんてこともあるんですよ。
★「精神科のスタッフは医学じゃない、麻薬覚せい剤を配る売人」
→医学を勉強してきた人に対して、それってひどいですよね。実際によくなっている人もたくさんいます。精神科の薬は神経に作用する薬が多いの副作用が多いのが難点。
★「精神科の看護師は薬物いによって患者が鎮静させられ、緩やかに殺されていくのを知っている。だから、何人も殺しているんだからひとりふたり踏んだり殴ってふみつけたって、追加でころしても大したことないと、精神科の看護師は考えるようになります、本当の事です、アウシュビッツの看守みたいな仕事」
→すいません、私一度だってそんなこと考えたことありません。自分が渡す薬はすべて勉強しています。ここまで言われてしまっては、全国で一生懸命働いている精神科の看護師はなんといえばいいんでしょう。毎日一生懸命、患者と向き合って働いていて、こんなことを言われてしまっては、今まで私たちがしてきたことは何だったのでしょう。患者さんのために、話を聞いて、どうすればこの人が社会復帰できるのか、どこのレベルまでが手の届く範囲か、医師や薬剤師や作業療法士などと話してどうするか、毎日患者さんのためになるかと思えたものは作ったり手書きだったり。特に担当の患者さんとは希望があれば時間外であろうと話を聞いたり。私はできるだけ受け持ちの患者には退院時にはその人に合わせた病状や入院中一緒に頑張ってきたことやできていたことをメッセージつきでパンフレットを渡しています。それは時に厳しいこともいいますが、よくなったと感じれたときやできたこと、楽しかったこと、うれしかったこと、悲しかったこと、つらかったことなど話を聞いたときは一緒にその気持ちを分かち合いました。それが看守みたいな仕事ですか?
他にもたくさん、いろんな方が精神科なんてなくなればいい、こんなの医学じゃないなどありました。
たしかに精神科の診断は医師によって異なったり、治療方法もさまざまです。ですが、逆をいれば、他の科は病気の診断基準や治療方針がすでに決まっているということです。
ということは、まだまだ未発達の科であり、これから多くの可能性もある科でもあります。
精神科で働いていて思ったのは、他の科では精神疾患があるとなかなか入れてもらえません。
妊娠していて出産時のみ産科。すぐに精神科って、私たち悪露みれないのにとか。
骨折した患者さん、OPのみ、あとは精神科。
ケアが明らかに専門性が必要なのに、夜間せん妄で見きれないから精神科。
認知症がひどくて精神科・・・それが今の医療の流れです。
内科で働く友達に聞きました、精神科の疾患があると業務が回らない。
私たちは精神科がないと、どう対応していいかもわからないし、業務をしきれないと。
話が長いのもわかるけれど、しっかり聞くことで患者さんと対面で向き合えることもあります。
長くなってしまったけれど、
医療者がなにかをすればここまで叩かれる悲惨さを知ってほしい。
確かに許しがたいことだと思います、同じ医療者として暴力を本当に行っていたら暴力です。
でもこれが患者さんだったらどうでしょう?
看護師が手で押さえたら、押さえつけた、当たったら殴られたにかわり。
患者が手を出したら払いのけた、いやだから拒否して足が出た。
現在の報道はすべて患者が被害者、医療者は加害者として扱われます。
世の中で悲惨な事件で精神鑑定だったり、責任能力不十分といわれる事件があります。
そういう人も最終的には精神科に行ったりするのです。
病院の外で人を殴ったら、犯罪者だけど、病気だから。
でも病院の中で殴ったら、医療者の対応が悪かった。
ここに何の違いがあるのでしょうか。
病院中でも外でも暴力は暴力です。
私は精神科で働いたとき、部屋に入ってすぐに水をかけられたこともあるし。
食事を配膳すると、いきなり食事を投げられたこともあります。
叩かれることだって蹴飛ばされえることだって、どつかれることもあります。
威圧的な態度をとられて、ののしったり罵倒されたこともある。
心無い言葉を受けたこともある。
妊娠中、おなかを殴られたって、患者の付き添いで急にかまってほしくて倒れたりする人を支えたり
支えきれず転んでしまったりした。突然走り出す患者を捕まえるため走ったり。
なんどおなかの赤ちゃんが流産するかもと、不安をよぎったでしょう。
患者におなかを殴られて流産したとしたら、人殺しです。
私の知り合いの看護師は、患者に絞首されています。
それでも、ニュースになることはありません。
なぜなら看護師側の対応がわるかったと世間が終わらせるからです。
これで死んでしまったら?
そのあとも笑顔で対応をしてしごとをしているんです。
人間対人間の仕事、こういうことがありながらも働いているひとは大勢いると思います。
なのにこのように書かれてしまう、寂しい世の中に寂しく思ってしまいました。