雪の結晶ってね、2つとして同じ形のものはないんだよ―――。
いつか雪が初めて降った日
彼女が得意げに話していた。
何千、何万 いや、それ以上にこの地に降りてくるのに
すべて違うなんてありえないじゃないか。
そんなことを思いながらも
僕はそれを捕まえようとする。
1つ 捕まえた。
僕の手の中にあったのは
一滴ともいえないくらいの小さな水滴。
ありゃー、溶けちゃったね!
彼女が微笑んでいる。
歩き出した彼女の背中を
僕は追う。
確かめることはできなかったけれど
なんだか人間みたいだな、と思った。
何万、何億と存在するのに
僕は1人。
彼女も1人。
なぜかちょっとだけ、こわくなった。
今でも雪が降るとあの日のことを思い出す。
そして僕は思う。
一人ひとりが特別な存在なんだって。