北にて歌う2024 ~その9 百年ののち 佐々木良子(辛夷) 啼きのぼるひばりのこゑを聴いたやうただあをあをと空のいちぐう 羽化とげて間もなき蝶の飛びきたり逝きたる人の誕生日けふは みづいろの糸蜻蛉ふいに現れて空(くう)にとけたり挽歌のやうに 夢うつつに我を呼ぶこゑ花盛るエザヤマザクラのトンネルをゆく 葉桜に降る昼の雨ゆつくりと傘をまはして行かう 何処まで 立葵のぼりつめたる紫を見下ろしゐるや明けやすき空 百年ののちのけふ日雲に乗り遊びつくさん短歌をよすがに