【コスモスさっぽろ】
のけぞつて空の真中を見上げればひつくり返つた北斗七星 稲葉洋子
北大の銀杏並木を駈けてゆく自転車の風デジャブを誘ふ 大桃小やゑ
林ぬけゴンドラのゆっくり昇りゆく夕日の帯に巻かれゆくがに 金子幸子
炊ぐこと厭ふにあらずそれのみに暮れたる今日を思ひてはかな 後藤美子
寂聴は「愛した 書いた 祈った」と墓碑に記すを希みて逝けり 清水芳洞
久々に庭にカッコウ来て鳴けり戦のニュース消して聴き入る 新保弥代枝
大男影からぬつと出てきそう数多の風車立ちたる丘に 吉田真弓