結社賞作品抄(2) | 短歌活動をめざす北海道歌人会

短歌活動をめざす北海道歌人会

北海道在住の歌人や愛好者、もしくは道外転出者も希望によって会員とする北海道歌人会です。短歌における親睦と創作を希望する方はどなたでも加入できます。ぜひ、一緒に短歌を楽しみましょう!

 

 

 

     ※ 掲載は一人5首にさせていただきます

 

 

季節の影(第63回新墾新人賞)釣 尚子

 

ふりそそぐ陽がしだいに熱をもち凍りし世界を溶かしゆく春

 

ほどけゆく冬の緊張指先の血管ゆっくり広がるような

 

卒業の子らにもらいし花束よ夫のワイシャツにアイロンあてる

 

春がきたただそれだけでハミングがいつもの店で苺を買いぬ

 

あこがれの自給自足にほど遠く小さな菜園ハーブを植える

 

 

 

 

花柄の傘(原始林賞)竹内いく子

 

晩秋の雨に花柄の傘ひらき裡のくらきに身は包まるる

 

雪しんしん厨仕舞に包丁を研ぐはおどろきの雪女の裔

 

疾き風の日日のつづきて桜花ひらかぬが散る雨の溜まりに

 

庭の空せばむる木蓮を伐らむかと思へば白花あふれて咲けり

 

物言はぬ憂さに折りたる紙ヒコーキ大きく曲がり飛びてゆきたり