※ 掲載は一人5首にさせていただきます
俺は無法者 山本信雄
今日の日も叶わぬ声にさからいて齢も忘れて歩き始める
ふらつきて足のむもつれで歳思う八十八歳気ばかり焦る
誤りは常にありにしわれなるも即座に訂正遺り直す
庭木立虚しく繁り美感なし己のいきざま笑まうがごとく
短歌読みて上出来なるを誉められる調子にのりて口笛吹きぬ
美幌峠 山本美智栄
戦火による惨状を日日見慣れゆく自らの瞳に怖れを抱く
いくそたび此処(ここ)美幌峠の眺望に立ちしか杖つき支へらる今も
かねてより懸案なりしわが実家の墓じまひに本州より甥二人来ぬ
合同の納骨塚に埋葬す後継者も遠く故郷離れて
墓じまひの後は菩提寺内・永代供養の位牌と並むに手を合はせ来ぬ