※ 掲載は一人5首にさせていただきます
原発でともる灯 森田直也
核のなき世を願いつつ原発でともりたる灯をわれらは浴びぬ
原発でともる灯の下抱擁も白夜のなか明るく照らす
原発でともる灯浴びての暮らしにも「ノー」と言えない都市住民
核のごみ持って行き場を探れども結局、過疎の貧しい町村に
温暖化防止に原発憎めない人が進める「再稼働」
日々逡巡 矢澤 保
死滅する珊瑚礁の拡がりてどこもかしこも戦争を待つ
乳牛の乳くさき牛舎の隅で仔牛に頬擦りする人の見ゆ
真夜中に屋根打つ雨の凄まじく寝返り打てば傍らに猫
特急の到着案内流れきて冷気と共に冬も着くなり
老い二人背中を当てて飲む紅茶薪ストーブの爆ぜる山小屋