令和5年度会員自選作品集(105) | 短歌活動をめざす北海道歌人会

短歌活動をめざす北海道歌人会

北海道在住の歌人や愛好者、もしくは道外転出者も希望によって会員とする北海道歌人会です。短歌における親睦と創作を希望する方はどなたでも加入できます。ぜひ、一緒に短歌を楽しみましょう!

 

 

 

      ※ 掲載は一人5首にさせていただきます

 

 

原発でともる灯 森田直也

 

核のなき世を願いつつ原発でともりたる灯をわれらは浴びぬ

 

原発でともる灯の下抱擁も白夜のなか明るく照らす

 

原発でともる灯浴びての暮らしにも「ノー」と言えない都市住民

 

核のごみ持って行き場を探れども結局、過疎の貧しい町村に

 

温暖化防止に原発憎めない人が進める「再稼働」

 

 

 

 

 

日々逡巡  矢澤 保

 

死滅する珊瑚礁の拡がりてどこもかしこも戦争を待つ

 

乳牛の乳くさき牛舎の隅で仔牛に頬擦りする人の見ゆ

 

真夜中に屋根打つ雨の凄まじく寝返り打てば傍らに猫

 

特急の到着案内流れきて冷気と共に冬も着くなり

 

老い二人背中を当てて飲む紅茶薪ストーブの爆ぜる山小屋