令和5年度会員自選作品集(103) | 短歌活動をめざす北海道歌人会

短歌活動をめざす北海道歌人会

北海道在住の歌人や愛好者、もしくは道外転出者も希望によって会員とする北海道歌人会です。短歌における親睦と創作を希望する方はどなたでも加入できます。ぜひ、一緒に短歌を楽しみましょう!

 

 

      ※ 掲載は一人5首にさせていただきます

 

 

 

旅  室田トモ子

 

奔放は吾も持ちしかセビーリアの大学歩めばカルメン嗤う

 

白蝶が卍巴に舞いながらその行く先の花のむらさき

 

金継ぎの取り次ぎの店も閉店す父の器は見捨てられない

 

山宿の窓を開ければ山行きの明日を祝うか月光彩雲

 

秋雨にコスモス静かにゆれている友との会話の余韻のように

 

 

 

 

 

つれづれなるままに  望月喜市

 

秋立ちて涼しさあれど藻塩焼く炎消すまじ恋のせつなく

 

折に触れ潮のごとく押し寄せる亡妻(つま)の思い出いかにすべきか

 

よき人とめぐり逢いたる吾が命人の伴のなんたる不思議

 

土に生き土に帰る日近づきぬ生きたあかしを残して死なん

 

北大の聳える大樹風に揺れこぼれ陽の下若人がいく