※ 掲載は一人5首にさせていただきます
旅 室田トモ子
奔放は吾も持ちしかセビーリアの大学歩めばカルメン嗤う
白蝶が卍巴に舞いながらその行く先の花のむらさき
金継ぎの取り次ぎの店も閉店す父の器は見捨てられない
山宿の窓を開ければ山行きの明日を祝うか月光彩雲
秋雨にコスモス静かにゆれている友との会話の余韻のように
つれづれなるままに 望月喜市
秋立ちて涼しさあれど藻塩焼く炎消すまじ恋のせつなく
折に触れ潮のごとく押し寄せる亡妻(つま)の思い出いかにすべきか
よき人とめぐり逢いたる吾が命人の伴のなんたる不思議
土に生き土に帰る日近づきぬ生きたあかしを残して死なん
北大の聳える大樹風に揺れこぼれ陽の下若人がいく