※ 掲載は一人5首にさせていただきます
花弁を閉じぬ 戸澤泰子
除雪車の轟音深夜も止まずして枕を抱えて布団にもぐる
いささかの関わり持たぬカラスにて何故われに挑む目をせり
友の顔目の前にして名を言えず桜の下にほほえむばかり
若葉うつ冷たき雨の一日に深紅の牡丹の崩れるをみる
夕ぐれは終わりに満ちた空の色ローズマリーは花弁を閉じぬ
平らかなわが町 戸田はま子
平らかな此の町に住み夕陽の地平に沈む見事は日常
山路来て山あじさいの白き花 辻村もと子の文学碑守れ
かかわりの無き田なるも豊穣の黄金の波は胸熱くする
秋空に赤き実似合うナナカマド五感ゆるがす散歩の恩恵
途絶えいし友からの文(ふみ) 涙ぐむ施設の暮らし安らぐとあり