令和5年度会員自選作品集(70) | 短歌活動をめざす北海道歌人会

短歌活動をめざす北海道歌人会

北海道在住の歌人や愛好者、もしくは道外転出者も希望によって会員とする北海道歌人会です。短歌における親睦と創作を希望する方はどなたでも加入できます。ぜひ、一緒に短歌を楽しみましょう!

 

 

      ※ 掲載は一人5首にさせていただきます

 

 

花弁を閉じぬ 戸澤泰子

 

除雪車の轟音深夜も止まずして枕を抱えて布団にもぐる

 

いささかの関わり持たぬカラスにて何故われに挑む目をせり

 

友の顔目の前にして名を言えず桜の下にほほえむばかり

 

若葉うつ冷たき雨の一日に深紅の牡丹の崩れるをみる

 

夕ぐれは終わりに満ちた空の色ローズマリーは花弁を閉じぬ

 

 

 

平らかなわが町  戸田はま子

 

平らかな此の町に住み夕陽の地平に沈む見事は日常

 

山路来て山あじさいの白き花 辻村もと子の文学碑守れ

 

かかわりの無き田なるも豊穣の黄金の波は胸熱くする

 

秋空に赤き実似合うナナカマド五感ゆるがす散歩の恩恵

 

途絶えいし友からの文(ふみ) 涙ぐむ施設の暮らし安らぐとあり