令和5年度会員自選作品集(68) | 短歌活動をめざす北海道歌人会

短歌活動をめざす北海道歌人会

北海道在住の歌人や愛好者、もしくは道外転出者も希望によって会員とする北海道歌人会です。短歌における親睦と創作を希望する方はどなたでも加入できます。ぜひ、一緒に短歌を楽しみましょう!

 

 

      ※ 掲載は一人5首にさせていただきます

 

 

永遠の時間 釣 尚子

 

朱漆の注口土器に縄文の乾いた命の詰められたまま

 

両腕をもがれた土偶上向きの顔の細い目虚空を見つめる

 

赤銅の淡い月浮くつかの間の原始の闇に高なる鼓動

 

降る雪に意識は天に昇りゆく永遠の時間の待つところまで

 

眠れずに朝を待つ闇浮遊する意識はいつか消えるのだろう

 

 

 

パープルの街 寺山寿美子

 

文化的感情と言ひ新古今読みをり公孫樹凋落の秋

 

水槽の金魚の華麗なる泳ぎ幼は瞠れる対抗心に

 

鎌の手を振り「してまたね」と昆布刈り別れる女人ら浜風のなか

 

金網を斜に大根おろしをり長寿年金、国家冬扇

 

闇の圧押しくる日暮れ寒堪へずパープル電飾の街耀ふ