令和5年度会員自選作品集(41) | 短歌活動をめざす北海道歌人会

短歌活動をめざす北海道歌人会

北海道在住の歌人や愛好者、もしくは道外転出者も希望によって会員とする北海道歌人会です。短歌における親睦と創作を希望する方はどなたでも加入できます。ぜひ、一緒に短歌を楽しみましょう!

 

 

     ※ 掲載は一人5首にさせていただきます

 

 

一本道 斎藤一郎

 

送りゆきまた送られて一本道一途な姿を見てゐた夜空

 

幾光年隔つといへど変はりなく空は氷の矢を放つ

 

七夕の一夜だけの逢ひゆるされて全身を研ぐ月の氷面

 

流氷に閉ざされし身も寒からず若さ弾ませ過ぎし幾月

 

廃線となり最終列車に乗車して思ひ出あつめ拾ひて来たり

 

 

 

日向水  斎藤純子

 

凍て空を引き裂くやうなヒヨ鳥の声聞かぬまま今年の冬は

 

会へぬことそして口許みえぬこと人を何処まで臆病にする

 

日向水などとやさしき名を貰ひペットボトルの水ぬるみゆく

 

季節にも匂ひあること教へつつ父の忌はふと近付いて来る

 

不確かな未来のために水色の小さき手帳を購ひてをり