令和5年度会員自選作品集(32) | 短歌活動をめざす北海道歌人会

短歌活動をめざす北海道歌人会

北海道在住の歌人や愛好者、もしくは道外転出者も希望によって会員とする北海道歌人会です。短歌における親睦と創作を希望する方はどなたでも加入できます。ぜひ、一緒に短歌を楽しみましょう!

 

 

       ※ 掲載は一人5首にさせていただきます

 

紫紺の空 印牧江見子

 

月も見へず睦月の夜更けて雪明り遠く聞こへる排雪車の音

 

春宵の紫紺の空に星は無く女人の眉に似せた月浮く

 

秋時雨止みたる後の寒ざむし灰色の雲広がる夕ぐれ

 

青みさす雪の朝焼け屋根のつらら陽の射す頃に溶けてゆくなり

 

降り止まぬ雪空見上ぐるその先に白い太陽の浮くが見えたり

 

 

 

草藤わらふ 鎌田章子

 

陽を浴びて昨夜積む雪の消えゆきぬ尾太き狐と目が合ふ朝

 

海沿ひに大雪警報ありし朝遺品整理のチラシ舞ひ込む

 

年金の減額通知が届きたり小さき畑に堆肥を撒かん

 

かあさんはまだまだ若いと思つてた風に揺れゐる草藤わらふ

 

せかいぢゆう極右にかたぶきまたちぢむ終末時計に沙羅の花ちる