※ 掲載は一人5首にさせていただきます
ひまわり畑 安高浩子
冬の陽は部屋に延びゆき明るみて吾の体もほぐれて軽し
緑ありて共に学べる楽しさに赤きマフラー選びぬ今日の
爆撃に破壊されつくしこの地にひまはり畑は幻となりぬ
人を待ち花咲くを待つこれよりは幾度なるかと強く思ひて
ナナカマドの赤実見上ぐれば寒空に広ごる雲は清々として
ここのそぢ 足立敏彦
少年の眼裏を灼きし八月十五日の真黒ヒマワリの貌
卒寿鳩寿と呼ばるる齢迎ふる日七十七年目の敗戦忌
翁めくことのなけれどすでに我ここのそぢなる襤褸のこころ
蝦夷松の冬の緑ぞここのそぢの一歩一歩に力湧きくる
ここのそぢの歌道七十五年いま生かされて現時点を泥む