第66回北海道歌人会賞作品 | 短歌活動をめざす北海道歌人会

短歌活動をめざす北海道歌人会

北海道在住の歌人や愛好者、もしくは道外転出者も希望によって会員とする北海道歌人会です。短歌における親睦と創作を希望する方はどなたでも加入できます。ぜひ、一緒に短歌を楽しみましょう!

 

 

今日の余白に(2) 村田正則

 

人のうへに人が住みたる高層と階層の塔ますます高く

 

暮れとなり脳に溜まる澱などを首をふりふり遠心分離

 

スピードを競うがごとく新幹線その陰で増ゆ限界集落

 

子育て終へ仕事に介護何もかもごちや混ぜのうちに老いて風化す

 

蒼天に立ち姿残し雪のなか一族かたまる大泡立草 

 

雪の日の紅き満天星冴えわたりこれ見よがしに天空に歓喜

 

ひと球のレタスまつぷたつにしたれば黄の芯出で夕日に恥ぢらふ

 

人の言ふ愚かさ醜さなんて気にせず残生を感嘆詞で埋む

 

数学を美の神と言ふ人のゐて日日の生活は四則で間に合ひ

 

微笑むと微笑み返す老婆ゐて散歩する道やさしさに溢る