短歌活動をめざす北海道歌人会

短歌活動をめざす北海道歌人会

北海道在住の歌人や愛好者、もしくは道外転出者も希望によって会員とする北海道歌人会です。短歌における親睦と創作を希望する方はどなたでも加入できます。ぜひ、一緒に短歌を楽しみましょう!

 

 

 

勇払 小松祥一(はるにれ)

 

稲穂かと見紛ふばかりの黄金色勇払の大地麦刈られゆく

 

勇払の低き雲間より光差すレンブラント光線と誰そ言ひにき

 

勇払の原見渡せばけもの道アスカの地上絵のごとく続く

 

さざなみの一つだになきウトナイの湖面渡りたし青き原つぱ

 

この夏のたつた一度のお出かけは同じ八十一友との勇払

 

ブルーべリー実を摘む人の皆逝きて熟るるばかりの文月(ふづき)八月

 

酪農に生ききて戦争体験す歌人遺歌集『勇払原野』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秋のきりん草 小島美智子(潮音・潮)

 

二十年経て屋根の塗替へ外壁も面白い社長それだけに契約

 

猛暑のやうやう収まり鰯雲屋根の塗替へ工事始まる

 

ペンキ屋は社員を褒め職人を褒む茶髪の青年先ずは挨拶

 

噴射して外壁の汚れを水洗ひ毎朝Doveでわれの洗顔

 

外壁の元々のいろはベージュ系冒険しない人ね 簡単に変へぬ

 

月光は森の樹々にこの径に秋のきりんそう草月影のいろ

 

猛暑なり小鳥のくらし我がくらし秋の実りの葡萄一房

 

 

 

 

 

 

 

石の段 大桃小やゑ(札幌興風会)

 

涙してゐるとも見ゆる眼の下の剥落白し技芸天の美し

 

菩提樹の深き香りにつつまれて時過ぐるなり秋篠寺に

 

白秋の碑にきざまれし水樽󠄀の歌くちずさむ 唐招提寺

 

いにしえの奈良の都の鹿に逢ふ春日大社の二の鳥居前

 

運慶の「大日如来」拝すべく山道をゆくバスに揺られて

 

六月の宇治川大きくうねりをり木曽義仲の滅びたる思ふ

 

薬師寺の塔を照らせる月のなく六月の雨静かに降りをり