ばらばら 大熊桂子
老の身のあはれびしょ濡れ雨のなか両手にゆふべの食の荷持ちて
咳込みのはげしき深夜冷蔵庫のあかりに飲めり支笏湖の水
人沈めば二度と上がらぬ支笏湖の死者たち青の水にとけゆく
いちりんの水仙の花開きたり脳に春の水流れきて
バラが咲き散るはバラバラ世界さへばらばら崩れるガザイスラエル
平和を祈る 大倉純子
溢れだすラムネの泡が滴ると海馬のファイル夏をめぐりぬ
千の風七十九年吹く八月の憲法九条永遠に尊し
不条理も不安も餡につつむやう彼岸参りの御萩を作る
つつましく菊の花咲く夕庭に母の面影しづかにたちて
ききなれし「暑さ寒さも彼岸まで」人が変えゆく地球のくらし



