明日を信じて 瓢子朝子
レッテルを読めば西瓜の生産者教え子と知り娘は懐しむ
わが余命いづこのあたり戻れない道をこんなに来てしまひたり
納豆の長く引く糸みつつゐて切れそうで切れぬわが命にも似る
高齢となりたる身にも明日あるを信じて着替への服たたみ置く
夫の遺品いつかいつかが早や四年虚しさ思ひ添へ来ぬ
永平綠さん 平山公一
三十年原発阻みつ続けたる珠洲は地震の二次被災救ふ
鳩寿超え北海道へ帰りたる綠さん一年経たず逝きたり
綠さんはビールでわれは紹興酒歌会の帰り根岸の中華屋
綠さんの追悼文には欠かせないことを書きたりひとつ匿して
芽生えたるもみぢ若葉を三月に逝きにしひとの化身かと視る



