「アメリカ」

US トップスクールは、高級ブランド&高付加価値戦略を進めています。ヨーロッパやアジアに優秀なビジネススクールが誕生したと言っても、本家アメリカのトップスクールには、蓄積された教育メソッドや優秀な教授陣、良質なプログラムやなんと言ってもそこで得られる「人脈」という素晴らしい Intangible Benefit を供給できるという事で、まだまだ非常に多くの応募者が集まります。トップスクール達は、TOEFLやGMAT、エッセイといった入学に必要なクライテリアをどんどん高くし、自分達のBrand Perceptionを引き上げようとしています。世界中から集まるとは言っても、もともと何故かアメリカのビジネススクールは排他的でアジア人割合の上昇を嫌います。近年、試験で高得点を取りまくるアジア人学生が増え続けていたため、TOEFLもさらに難しく改定し(ibt)、GMATも難化させていっています。そんなこんな全て含め、アメリカのトップスクール達は、差異化戦略を進めています。また、プログラムも企業との提携や強制インターンシップの導入、世界各国でプロジェクトを進める制度の導入等、高い授業料に見合う内容の拡充を進めています。まさにMBAのマーケティングの最初の最初に習うような手法ですね。「僕らはユニクロやZARAではなく、LVMH(ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー)です。Target Segmentが異なるのです」という事ですね。そんな戦略が講じてか、今のところ、アメリカのトップスクール(大体上位20校)の地位は揺るぎません。卒業後の良い就職やそこへ集まる学生達との人脈を求め、企業派遣を中心に世界中から応募が集まります。逆にトップスクール以外のスクールのMarket Share はヨーロッパやアジアのスクールに脅かされ始めています。彼らはそれに対抗し、1年制MBAの導入や授業料を下げるといった戦略を取り始めています。


「ヨーロッパ」

ヨーロッパもトップのトップは、アメリカトップスクール型を取っています。今まで築き上げてきた評判や企業とのネットワークを武器に多くの優秀なアプリカンツを集める事ができます。その保障があるので、授業料を信じられない額に引き上げ、プログラムや教授陣も比類無きレベルに上げています。それに成功した超トップスクールは、アメリカトップスクールのように、高級ブランドになる事ができています。


以降は、それ以外の大半のヨーロッパのスクールについてです。


ヨーロッパのビジネススクールの売りは、以下の3つ。


①1年制

②低コスト(イギリス)

③インターナショナル


まず、大半のヨーロッパのスクールは、1年制の体制を取ります。イギリスのLBS(London Business School)はアメリカ型のビジネススクールを目指すため、2年生を取りますが。。この1年制という制度は多くのビジネスマンにとって魅力的な制度です。何しろ、今までアメリカに行くしか無かった時代は2年間実務から離れなくてはならなかったのに対し、ヨーロッパのスクールに通えば、機会費用が1年で済むのです。このメリットは非常に高く、忙しく働く多くのビジネスマンがヨーロッパへ流れました。また、1年制であるが故に授業料が安くて済みます。これにより、コストを抑えたい私費留学の学生にとってはヨーロッパの魅力は増しますし、今までならMBAに出願できなかった層の人達が目指す事が出来るようになりました。新規市場開拓です。あと、ヨーロッパはアメリカに比べ、ダイバーシティが高いのも特徴です。他国からの学生を嫌いアメリカ人を中心に取ろうとするアメリカと異なり、ヨーロッパのスクールには、アフリカ・中東・アジアから多くの学生が集まります。授業での英語のレベルが落ちてしまうと言ってしまえばそれまでですが、これにより、より幅広い国際経験を積む事ができる、というセールス文句が言われるようになりました。そんなヨーロッパの、とりわけイギリスのビジネススクールが近年取っている成長戦略を紹介します。それは以下のようになります。


1.まずは1年制である事により、アメリカのスクールとの差異化を図る(上記参照)。

2.GMATの条件を課さない。

2.授業料と機会費用が低いしGMATが無いから、多くの応募者が集まる。但し、バカもいっぱい応募してくる。

3.IELTS(英語の試験)のクライテリアを引き上げる。

4.条件を満たす学生は、自然と英語を母国語とするインド人比率が高くなる。

5.ので、インド人をたくさん取る。

6.インド人は数学をはじめとして学力が高く、受講前の賃金が低い。

7.優秀な彼らは無事学位を取れる上に、元々の低賃金を要因に卒業後の給与上昇率が非常に高くなる。

8.それにより、Financial Timesでのスクールのランキングが急上昇する。

9.ランクが上がると、各国からより多くの、より優秀な応募者が集まるようになる。

10.その人達はよりタフなプログラムに耐えられる。

11.プログラムをより充実していて、タフな内容に徐々に変えていく。

12.良いプログラムが出来上がる。

13.ランクが上がり、応募者が集まるようになるので、授業料を徐々に上げていく。

14.クラスの人数も増やしていく。

15.資金が集まる。

16.アメリカのビジネススクールの様に、企業との提携プログラムや海外でのプロジェクトを導入する。

17.アメリカのトップスクールにひけをとらない質の良いプログラムが出来上がる。

18.さらに魅力が上がる。

19.良い学生が集まる。

20.GMATを必須に変更する。

21.もっと良い学生が集まる。

22.卒業生の給与の絶対値が上がっていく。

23.さらにランクが上がる。

24.さらに魅力が上がる。

25.さらに多くの応募、良い学生が集まる。

26.金儲かる。


このように「インド人」と「給与上昇率」にレバレッジを効かして「ランク」「質」を向上させる戦略を取る事により、アメリカやアジアのスクールに対抗し、成長しようと試みているのが、最近のイギリスのビジネススクールです。イギリスは古くより、インドを搾取し続けて潤ってきました(1600年、かの有名な「東インド会社」が創設されましたね)。時は変わり21世紀、ビジネススクールの市場においてイギリスはまたもや「インド人」をテコに成長しようとしています、うーん、面白い。


私が今年10月より行く事となる Lancaster University もまさに、この戦略によりランクを上げ、成長してきたスクールのようです。そこのダイレクターであるミスターマルコムは、今年からバーミンガムMBAのダイレクターをしています。おそらく彼は、バーミンガムでも同じような戦略を取る事でしょう。今からMBAを目指す皆さん、バーミンガムMBAは狙い目ですよ。今ならまだ入りやすく、授業料も安く、卒業後のReputationが上がるスクールです。ま、ホントはそんなものは全く本質ではありませんが。


そもそも、このランキングというもの自体、おかしいのです。上記戦略を見てもらっても分かりますが、要するに、卒業後の給料と、給与の上昇率が上がれば、ランクが上がるのです、コースの質とは別に。かといって、職業経験の無い人を大量に入れて、ダメ人間を卒業させて、上昇率向上を狙っても、そんな卒業生は誰も雇わないので、そんな戦略は成功しませんが、要するに「給与上昇率・卒業後給与」とランクに相関関係が無いかって言われれば、無い訳ではありませんが。。しかし、それにしても、上記のようなマジックが使えてしまうものでもあるので、まぁ・・・、当てにならないっちゃあ当てになりません。でも、若干の相関関係も理論的に認められるし、他に指標は無いので、当てにするしかありませんが。要するに、根本的にはビジネススクールによる「ビジネス」なので、誰も貴方の成長に責任は持ちませんし、授業料さえ払ってくれれば、「毎度、おおきに」なのです。MBAなんて虚構でもあるし、「大きな成長の機会」でもあるのです。学生の成長は本人にかかっているのです。


「アジア」

アジアのビジネススクールのメリットは以下の通りです。


①もっとも多くの需要が一番近くにある。

②生活費・授業料が安い。

③いま、世界のビジネスの現場はアジアです。


まず、今まで大量の留学生を送り出していた送り元がアジアです。そこに直接優秀なビジネススクールがあり、ちゃんと英語で学習できるのであれば、彼ら(留学生)がアジアのスクールを選ぶ可能性は高まるでしょう。何しろ、アメリカのトップスクールで得られる、「人脈」という財産を除いた全てが、物凄い身近にあるのですから。もし、自国にある場合は、仕事を辞めずに通う事ができるかもしれません。今まで仕事を辞めるのが嫌で行く事をためらっていた人たちも目指し始めるかもしれません。そういう意味で、アジアのスクールは非常に大きな強みを持ちます。また、アジアは生活費・授業料が安いです(香港・シンガポールは別かな・・?)。これを理由にアジアを選ぶ人もいるでしょう。さらに、現在、グローバルビジネスの現場はまさしく「アジア」です。ビジネスを学ぼうとしているのに、いまビジネスが無い場所で学んでも仕方がありません(と、彼らは言う事ができます)。今の最もビジネスが旬な場所で、その「アジアビジネス」を学ぼうではありませんか、と宣伝する事で、彼らの魅力は上がります。また、アジアは製造業の中心地でもあります。MOTとまでは行きませんが、それにあわせて、テクノロジーに特化したようなMBAを提供する事で、他との差異化を図る、又は付加価値を増大する、という戦略もアジアのスクールは取っています。


「直近の市況」

直近は、世界経済の景気や通貨価値に大変動があったためマーケットの状況にも変化が起きているようです。


①まず、金融危機に始まる世界不況により、全体のパイの成長が停滞し始めました。


②次に、ポンドとユーロの価値が急降下しました。


③追い討ちで新興国投資関連も崩壊し始め、金融のみを頼りにするUK(あと観光と教育)の通貨、ポンドは先

の見えない暗い状況となりました。


④さらに追い討ちで、ギリシャの破綻、ポルトガル・スペインの潜在的な破綻可能性、アイスランド火山(これは

微妙ですが)により、ユーロもどん底です。


⑤もっと前にありましたが、TOEFLが改正されました。リーディングが超長文化し、リスニングも非常に長くなり

ました。加えて、文法セクションが無くなり、新たにスピーキングが加わりました。ライティングにもリスニング

が加わりました。


そんな理由で、MBAのアプリカンツはヨーロッパに流れ始めました。ただでさえバカ高かったUSビジネススクールの授業料に加え、他方ヨーロッパでは通貨の下落により、授業料と生活費が相対的に激安になりました。さらにTOEFLの改正により、今までリーディング、文法セクション、ライティングでの高得点を武器にTOEFL250をパスしていたアジア人が急遽、パスできなくなりました。それでも絶対アメリカだぜって輩は粘り強くTOEFLをやり続け、いろいろな塾に通い、多額の投資をし、何とかクリアしていっているようですが・・・


あ、今からTOEFL100奪取を目指す方、南青山にある「PRESENCE」、おススメです。105点コース、ぜひご活用ください。費用が安い上に、良質の英語教育を受けられます。Harvard 行政大学院「ケネディスクール」卒業で、「絶対内定シリーズ」とかを書いている杉村太郎氏が開設された塾です。うん、これでPRESENCEに恩返しした。うんうん。


戻ります。でも、そんな事やってられねぇ、って人は、条件付オファーなどでTOEFLでも条件に若干の幅を持たせてくれたり、IELTSという別の試験でも許してくれたり(こっちのが非常に簡単)、TOEICでも受け付けてくれたり、GMATを別の形の試験で免除したりしてくれる、そんな Flexible なヨーロッパのスクールにガンガン流れ始めました。中国とか顕著だったかな。あ、インドも。


そういう意味では、もしランクさえ保てるならば、ヨーロッパのスクールには有利な状況が生まれたのです。しかし、ヨーロッパのスクールが直面する難題は、不況により卒業生の就職率と給与と給与上昇率が鈍り、ランクが下降し始める事です。これをくらってしまうと、結局アプリカンツを集める事は出来ず、最終的に沈んでいく事となります。


総括すると、もともと直近、昇竜の如く上昇してきていたアジアのスクールはアメリカとヨーロッパの両方からシェアを奪い続けています。それでもアメリカのトップスクールは全然揺らぎません。でも、トップスクール以下のUSスクール達は苦しんでいます。ヨーロッパはそこからシェアを奪い続けています。ヨーロッパのスクールは、超トップスクールは別ですが、その他スクールは、まずどんな理由でも良いからランクを上げ、それを宣伝に学生を集めます。それが成功すれば、授業料を上げ、プログラムを改造し、質も良くしていきます。そんな収益構造です。でも、上記困難に負けたヨーロッパスクールは凄い速度で壇上から姿を消して行っています。ヨーロッパからシェアを奪われ続けているアメリカのトップ以下スクールは、最近1年制の導入など新たな作戦を練り始めています。でも、その改革をアメリカの教育制度が阻害しています。修士は2年にしなさい、と。そんなお客さん争奪合戦が繰り広げられているのです。


以上が、ビジネススクールの成長戦略についての私の見解です。ビジネスを教えるビジネススクールが自分達のビジネスを頑張るのは当然ですね。ビジネススクールなんて、本当に良いものなんだか悪いもんなんだか、勉強になるんだかならないんだか、成長するんだかしないんだか、虚構なんだか、役に立つんだか立たないんだか、よく分からない幻のようなものですが、まぁ、お前ら皆ビジネススクールの宣伝に踊らされた上客とも言えますし、前述した通り、そんなものは全て当の受講者本人に委ねられているとも言えます。


私はここにきて、かれこれ8ヶ月経ちますが、うーん、自分的には、間違い無く「成長」したし、日本でそのまま働き続けていたら絶対に得られなかったであろう様々な見識・知識・経験を得る事が出来た、と感じております。もちろん、日本でそのまま働いている事が悪いと言っているのではありません。ビジネスなので、全ての基本は「実務」です。そのまま働いていても、それは多くのスキルを身につけた事でしょう。


しかし、この「成長できた」という感覚自体・・・・幻???


うーん、分からん。


それは20年後に分かるという事で。