前回の記事「関節機能障害」と同じくらいよく治療対象にするのが、この筋スパズム(muscle spasm)です。spasmは攣縮(れんしゅく)を意味し筋肉の線維が持続的・不随意的に収縮しつづける状態を指します金h肉

 生理学では筋の単収縮(twitch)のことを攣縮とも呼びますが、これとは意味が異なります。ちなみに痙攣crampと言い「うわ~足がつったぁ」のいわゆるこむら返り(有痛性痙攣)はmuscle crampと呼びます

 わかりやすい例で言うと肩(首)こりのコリコリが筋スパズムですね 肩
その特徴は以下の通りです
①筋緊張亢進:触る(伸ばす)と特有の硬さと張りがあり、腱反射がやや亢進する。
②筋短縮:筋肉の長さが短くなることで、隣接する関節に可動域制限を起こす。
③疼痛:鈍痛、伸張痛、収縮痛、圧痛などを伴う。痛みは筋腱移行部に出やすい。
④部位:スパズムは1つの筋肉内で、部分的(時に点状)に生じる(≒ 筋硬結)。

 


 血管も平滑筋という筋肉ですのでスパズムを起こします(血管攣縮)。スパズムと言うと、ほとんどの医師はこの血管スパズムを想像します

 さて、この筋スパズム。臨床で痛みを訴えるあらゆる患者さんで、その存在を認めます。肩関節周囲炎、五十肩、腰痛症変形性関節症、筋筋膜症候群、線維筋痛症、骨折後や関節リウマチなどの整形外科疾患はもちろん、脳・神経疾患による麻痺筋緊張異常のある肢体部、呼吸器疾患の患者さんの胸郭や腰背部などにも認めます(特に慢性期)。

 その共通点は痛み(侵害刺激)をきっかけに発生するということです。筋スパズムはある意味、筋肉による防衛反応なのかもしれませんねマッチョ

 そしてもう1つ最大の特徴が前記事の「関節機能障害」との関係です。実はこの関節機能障害を治療すると、その関連する領域の筋スパズムが一瞬で消失します。数時間後に段々とではなく治療直後に治りますですから上に書いた疾患を問わず、患者さんの症状や障害を見ることができます

 この筋スパズムの状態が続くと、筋の結合組織の短縮、つまり筋の拘縮
(contracture)が生じ、これがさらには変形や強直の原因にもなる可能性がありますので、筋スパズムの治療は機能予後的にとても重要ですチェック


 前記事にも書きましたが、ストレッチ(伸張)運動は筋スパズムが余計に強くなりますので禁忌となります。しかし、恐らく一般の方が想像している“ストレッチ体操”と私が言う本来の伸張運動(Stretching exercise)はイメージが異なる気もします。次回はストレッチについて書こうかな笑う

 

より専門的な説明は→こちらの治療ブログで

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