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またもや新しい部類に入る大学閉鎖である。

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東京女学館大学閉校が物語るもの
学校経営のプロ登場待望論 - 常見 陽平

アゴラ 4月30日(月)16時47分配信

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120430-00000308-agora-soci

実にショックだった。東京女学館大学(東京都町田市)が来春の新入生の募集を停止し、在校生が卒業する2016年3月をもって閉校するという。4月30日付の日本経済新聞が報じた。

少人数教育であること、キャリア教育に強いことで知られる同校の閉校を通じて考えるべきことは何なのだろうか。同校は2002年に短大を改組して生まれた。国際教養学部のみの女子単科大学だ。

特色の一つは、徹底的な少人数教育である。1学年の定員は100名程度だ(ただ、11年連続で定員割れが続いており、この4月は52人だったというが)。

普段の講義も20名以下で行われ、コミュニケーションを重視し、大学1年の頃から徹底的に「読み、書き、聞く、話す、考える」ということに取り組む。

日本の大学が問われているのは、4年間でどれだけ学生の能力、意欲を伸ばすことが出来るかということだ。4年間の付加価値が問われるわけである。大学のランク、文系、理系によっても異なるものの、この部分が怪しい。

教育の中身や単位認定には常に不信感がつきまとう。学生だって「単位」が欲しくて勉強しているのであって、「A」や「優」が欲しくて勉強しているわけではない。企業が採用活動を行う際も学歴差別をしなければならなくなる。レベルよりもラベルとなってしまうわけだ。その点で、東京女学館の少人数教育は注目していた。

キャリア形成支援にも注力している。大学1年の頃からキャリア教育科目を設置する。「死」という、誰にでもやってくる人生に最後についてまで考えることが大きな特徴だ。就業力育成支援にも力を入れており、企業とコラボした多様なインターンシッププログラムなどが注目を集めていた。

この大学における名物ゼミ、西山昭彦ゼミは7年間の内定率が95.4%だという。経営者の本の輪読、毎週のプレゼン、ケースディスカッションなどを行うだけでなく、外部のビジネスコンテストでの発表、企業インタビューなど内容も充実していた。OGの半数以上が東証一部上場企業に進み、それ以外でも成長企業、優良企業と言われる企業に進んでいた。

この手のことを書くと、「就職予備校的な大学を礼賛して」と言う方が必ずいるのだが、現実を見て欲しい。「大学」というものを、自分が通っていた、当時の大学を前提として議論をするからいつもかみ合わない話になる。全国に約780ある大学は機能分化の方向に向かっているし、どの大学にもプチ東大であることを期待するのは違う。

特にキャリア形成支援、就職支援は大学にとっての生命線である。学生を集めるためにはここに力を入れざるを得ない。よくこの手の話をすると「有名大学はそんなことをやっていない」と言う人がいるが、そういうわけでもない。たしかに、普通の私大が行うような、詐称した数字を見せて「抜群の就職実績!」などと書いた交通広告をデカデカと掲載するようなことは行なっていなくても、地味な努力をしているものである。

講義は英語で行う、留学をマストにするなどの教育で知られる国際教養大学などでも、たしかに普通の大学が行うような就職対策講座のような支援は行なっていないが、個別の進路指導は行なっている(ちなみに、企業からは学生の進路に介入しすぎではないかという批判の声まで出ている)。極めつけは、年末の時点での数名の未内定者に対して大晦日に中嶋学長は自ら激励の電話を入れたという。これ以上の就職支援はないと言えるだろう。余談だが、専門誌に掲載された中嶋学長のインタビューによると、最近の懸念は「国際教養大学に入れば就職はバッチリだという依存型の学生が増えるのではないか」ということだった。理想を掲げ、実行したところで、「大学まで出て就職できなくては嫌だ」という下心はあるものである。

キャリアセンターどころか、就職課すら存在せず、学生部就職係がサポートを行なっている慶応義塾大学も、就活対策講座などに力を入れていないことで知られているが、決まらない学生のフォローを始め、最低限のサポートは行なっている。

やや話がそれてしまったが、少人数教育、キャリア教育などに力を入れ、偏差値も48と決して高い方ではないのに、高い就職実績を誇っていた東京女学館大学の閉校は個人的には非常に残念である。

ただ、結局のところ11年連続定員割れ、25億円の累積赤字ということは、市場が評価しなかったということと、経営が上手くいかなかったということなのだろう。これ以上の損失を出す前に撤退するということは、勇気ある決断とも言える。

今、日本の大学に必要なことは何か?教育の充実、進路指導の徹底だとか、グローバル化だということが言われるが、今日は別な観点で。

それは、経営のプロが大学を担当するべきでは?ということである。学校経営のプロがいなければ、日本の大学は変わらない。日本においては、どちらかというと専門学校の世界などでう呼ばれる人たちはいるのだが、大学においてはまだまだ足りないと言えるだろう。

もちろん、「教育を何だと思っているんだ」という意見は常に起こるだろう。暴走しないように、監視も必要ではある。もっとも、学長よりも教授会が権限を持ちすぎており、決まることも決まらない日本の大学の現状を考えるならば、ここは学校経営のプロを、外部から(それこそ海外から、あるいは民間企業から)連れてくるのも一つの妙案ではないだろうか?

(常見 陽平)

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 東京女学館は渋谷広尾に小学校、中学、高校がある。中高は中学からしか募集はない。私の世代では御三家に手が届かないがそこそこいい中学として人気があった。「渋谷の白鳥」といわれていた。

 短大が併設されていたが、2002年から短大を改組して大学となった。受験生が集まらないのは内容よりも「地の利」のような気がする。短大は1978年まで渋谷にあり、その後に町田市に移転する。町田といっても東京都であるが都心からのアクセスも近くなく、この大学は東急田園都市線の「南町田」駅下車で 徒歩約12分もする。こういった郊外に大学をとどめるよりも学校本部のある渋谷に移転したり、当初から設置しておけば受験生が集まらないということはなかったと思う。ろくな教育をしていないかったり、内容のない大学がたくさん生き残っている時代なだけに非常に残念なことである。こうなる前にもっと何かできなかったのだろうか。

 1970年代後半から1990年代にかけて、郊外に広大なキャンパスを取得し移転した大学が、都心に回帰する動きがある。また、都心にサテライトキャンパスを置く大学も増えている。

 先駆は東洋大学である。東洋大は女子学生受け入れ、通信課程、セメスター、大学ホームページも他大学に先駆けて導入したが、都心回帰も先駆だった。東洋大学は白山キャンパスに隣接する住宅展示場跡地を取得し、2005年度から埼玉の朝霞キャンパスと白山キャンパスに分断されていた文系5学部を都心の白山キャンパスへ統一した。その結果、志願者数を急増させると、その影響で國學院大學・共立女子大学・昭和音楽大学・立正大学・青山学院大学等も本部のあるキャンパスへ全面的に回帰する事が決定している。

 さらに東洋大学は自校の文系5学部の志願者増を受けて2009年から埼玉県境に近い群馬県板倉町にある国際地域学部を白山キャンパスへ移転、加えて旧北区立赤羽台中学校跡地を入手して川越キャンパスから総合情報学部を2017年に赤羽台キャンパス(仮称)へ移転するなどさらに都心回帰を推し進めることになった。 千葉県にあった帝京平成大学は池袋にある豊島区の小学校跡地を入札で落札し、本館を建設。また池袋にあったファミリーマート本社跡地に帝京平成大学1号館を開設した。都心回帰と言うよりは都心進出の動きを見せている。近畿圏にあっても同様の動きがある。

 大学は時代にあったニーズに合わせないと生き残れない。これは塾業界も同じだと自戒している。