先週のことだったか、何年かぶりに中秋の名月とやらを家内と2人で見てきた。これまで生活の忙しさに追われて月を見る余裕などなかった。この日、夜帰宅すると家内からの「帰り道、月は見られた?」との問いで中秋の名月だったことを思い出し、夕食後に2人で月を見に行くこととした。月見だなんて、いつ以来だろう。2人とも今年還暦になり、仕事も子育ても、そして病気も最近になってようやく一段落してきたので、気持ちに余裕が出てきたのだと思う。思い返すと怒涛の人生だった。思い出すのも嫌なことはたくさんある。まあ、それはいいか。


何気に視界に入ってくる月ではなく、ちゃんと見に行ったこの日の月は、雲の切れ間からときどき顔を覗かせる程度ではあったけど、まるで「ようやく見てくれたね」と自分に語りかけてくれているような気がした。自分も心の中で「ご無沙汰しています。お変わりないようで」と返す。残念ながら我が家の近くでは、気の利いた月見場所がないので、少し空が開けた交差点で月を見たが、雲の切れ間から覗かせる顔は月暈(つきがさ)が美しく、月ってこんなにいいものだったかなと、月の美しさにしばし目を奪われた。


いろいろなことが一段落したと言ったが、もちろんこれからも年相応にクリアしなければならない課題は我が家にもたくさんある。ただ、若い頃とは違って焦ることも少なくなってきた。頑張りはするが、成るがままに、前かどうかわからない先にに進む。今はそんな心境だ。あとは我が子らの幸福を祈るだけ。お月さま、よろしく頼むよ。