映画「沖縄スパイ戦史」2018年公開 | 日々是湧日 ヒビコレユウジツ

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2021年までは、主に映画(ドキュメンタリー多、ネタバレ多)・書籍からの感想、2023年からは、映画・書籍にとらわれずにやってます。

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大東亜戦争当時の沖縄本島の戦いは、南部が激しかったとされるが、それ以外の北部での戦い、そして波照間島の民間人が味わった沖縄の惨状を紹介したドキュメンタリー映画。

【護郷隊】
護郷隊とは、沖縄の民間人で16歳くらいからの少年で構成された兵隊である。
陸軍中野学校から送られたリーダーにより、民間の少年が訓練を受けて、戦いに参加させられた。
総勢約1000名にも及ぶ。
護郷隊はゲリラ戦などに利用され、相手の食糧庫などに近づいては手榴弾などを投げ込み、爆発させるなどをしていた。


アメリカ軍が南から攻め上がり、領土が奪われ撤退する中で、病気や怪我でついてこれなくなった者は、日本兵によって射殺されることもあった。
生きて残しておくと敵兵に秘密を暴露してしまうなど不利に働くからだ。
当時の日本人は、敵兵に殺されるのだったら、味方に殺される方を選ぶという感覚だったともいう。
実際に射殺の場面を見ていた人がインタビューに答えて当時を振り返る。
その証人によって、敵兵との戦いで戦死したはずの我が息子が、味方による射殺だったことが知らされた母親の様子が紹介されていた。
2重にも悲しい知らせとなってしまった。

護衛隊の若い死者は合計約160名にも及んだという。

【波照間島では】
波照間島に入った山本(偽名)という男は、最初は親切を装って島民に近づき、最終的には住民を西表島への移住させることになった。
日本軍の戦略遂行のために移住させたのだ。
飼われている牛もすべて殺された。
残していくとアメリカ軍の食糧になり、敵の軍隊の利するところとなるからだ。
当時、西表島はマラリア流行しており、多くの方がマラリアにかかり、命を落とすことになってしまった。


【スパイ、疑心暗鬼】
当時の軍隊は民間人を監視していた。
民間人のスパイリストができていたという。
敵軍のスパイと疑われた民間人は、つかまったり殺されたりもした。
民間人どうしがあの人がスパイではないか?と疑心暗鬼になり、まちがった情報をリークすることもあった。
日本軍の倉庫に荷物を運んだ民間人も、その倉庫の場所を知っているということで口封じされる寸前までいったことがあった。
この殺されかけた人は、腹をすかせた軍人たちに施しを与え続けた貢献者であり、軍の荷物を運んだ貢献者でもあった。
にもかかわらず、倉庫場所の守秘のために命が危険にさらされたのだ。


【この映画のメッセージ】
戦争とは、民間人の命を守るという目的が一切ないものである。
国が戦いに勝つことだけが目的になる。
民間人は若くしても兵隊として勝つために使われ、勝つためならばその生命も奪われる。
多くの人間の命が奪われようと奪われまいと日本軍の戦略が進められる。
貢献しているかしていないかに関わらず、危険とあらば口封じもする。

この点からも、戦争を二度してはいけない。
戦争になった時点で不幸以外の何物でもないのだ。
この事実を風化させてはいけない。

【感想】
この戦争時の方針は、基本的に今の自衛隊のマニュアルにそのまま引き継がれているそうだ。
戦争とはこういうものなのだ。

憲法9条の改正、個別的自衛権と集団的自衛権の解釈の問題。
沖縄の基地問題。
これを考える上で、理解しておかないといけないことであると感じた。

アジア情勢や世界情勢も緊張が高まる方向にある。
経験のないものは、昔の戦争を過小評価してしまうものでもある。
歴史が繰り返さないように理解しておかないといけない。

 

映画「不思議なクニの憲法」もみて考えたい。