今回のエントリーはフライ歴の長いじじいフライマンの皆様には全く新しい話はないものと思われますが、最近のフライラインはいろいろ細分化されてきてわかりにくくなってきているのも事実です。今後フライフィッシングを始められる方、最近始めた方のためにも無駄なタックルやラインを買わずに済むようになることを祈願し、あえて記しておくことにします。

前回のエントリーで記した通り、手持ちの7番シングルハンドロッド、Cross S1 7'8"に合わせるラインは、LOOP社の製品から探せばシングルハンド用STヘッド7番が全長9.1m、ヘッド重量16グラム、約247grainというラインデータだったと思います。

実際には日本で簡単に手に入る3M/SA(Tiemco) OH&D WF7F(シングル):全長25m、ヘッドの長さ約9m、ヘッド重量245grainだったか255grainか(カタログデータ)を合わせています。OH&D WFはCROSS S1と大変相性がいいラインだと思っています。

このOH&D WF7F(シングル)は、AFFTAのシングルハンド基準(ヘッド先端30フィートの重量でライン番手を決める)では、#9STラインと表記すべきラインですが、なぜか#7WFとして販売されています。

端的に言うとAFFTA基準で標記されていないというのが理由です。

フライロッドとフライラインは工業製品なのに極めて手工業的な色彩が強く、いい悪いはともかく感覚的なスペック標記がまかり通っている世界といえます。なので最初のうちはかなり戸惑うと思います。私もその一人でした。


今回はタイトルの理由について個人的憶測を述べてみたいと思います

例えば、8年位前に買ったSA/マスタリーのシンクティップラインを例に挙げると、これは普通のWF8F/Sラインなのですが、ヘッドの長さが38フィートか40フィートあります。AFFTAのシングルハンド基準で8番標記なので先端から30フィートまでのヘッド重量はおそらく210grain程度なのでしょう。しかし全ヘッド長、38-40ft全体の重量を単純化計算ではじくと、210grain×(38フィート÷30フィート)⇒210×1.27=267grain程度以上になるはずと思います(実際には測っていないけど、)。

つまり、WF8と言っても通常はWFラインのヘッドの長さは30ft以上あることが多く、上の例のSA/マスタリーのWF8F/Sの場合、ロッドティップからヘッド38-40ft全てを出したら、ロッドにはAFFTAシングルハンド基準の重量で9番か10番に相当する負荷がかかることになるわけです。

かつて、日本のフライライン市場のほとんどが3M/SAの製品しかないに等しい20世紀末の日本において、3Mのウェットセルなどのシューティングヘッド(30FTのもの)を買うときはロッドの指定番手の2番手上をよしとする。すなわち6番ロッドには#8STを合わせるのがよいとする時代が長らくあったように思われます。これはロッドへのライン負荷がフローティングラインのWFテーパーのラインをベースに設計されることが多かったからだと推察されます(特にシングルハンドロッドの場合)

つまり通常は30ft以上あるWFフローティングライン(多くの場合3M/SAのライン)のフルヘッドを出した状態での負荷が最適化とされるロッドの場合、WF6番ラインのフルヘッドのロッドへの負荷重量は175grain >>訂正>>185grainでなく210grain程度となります。この負荷重量が最適化となるロッドをロッド製作者は6番ロッドとして標記していたのでしょう。

ただこれもシンキングSTラインの選択となると、タイプ1くらいまでは2番手上、すなわち6番ロッドにST#8(30ftヘッド)で、タイプ2は1番手上か2番手のST#7かST#8(いずれも30ftヘッド)がいい。
しかしタイプ3ないしは4あたりから30ftのSTヘッドといえどもロッド番手と同じ番手を合わせるのがよろしい。

このようにするのが世間一般の見解でした。当時、フライショップの店員さんに聞くと大体そんなアドバイスが返ってきたような気がします。

まあ今どき一律にこのようなアドバイスをする店員さんのいる店はなさそうですが、あったら20年近く遅れた商品知識で商売しているショップといえます。アドバイスを聞かないようにした方がいいでしょう。商品価格には店舗マージンがのせられており、その一部に店員の情報料・アドバイス料も入っていると考えられます。なのでそういう時代遅れのアドバイスをするショップでは値引き度合いと品ぞろえだけに着目して利用することをお勧めします。

さて本題に戻り、高シンクレートのラインになるほどSTヘッドの重量を上げなくてもよい理由は、フローティングラインに比べ、シンキングラインは比重が高くシンクレートが高いラインほど、高比重になり、同じ番手のフローティングラインやインターミディエイトラインよりも径が細くなります。細くなればキャスト時の空気抵抗が減って慣性モーメントが減衰しにくくなって相対的にラインスピードを上げやすくなります。このため、高シンクレートのラインになるほど、ラインの自重を増やさなくてもロッドに負荷をかけやすくなります。ゆえにタイプ3あたりからロッド番手通りのSTヘッド(30ftのものの場合)を選べばよいとされていました。この辺は実際に振って比べてみればわかりやすい点です。

仮にヘッドの長さが30ftしかないWFラインと30ft以上のヘッドを持つWFラインを比べた場合、先端30ftだけしか計測しないAFFTAのシングルハンド基準で番手表記するとどちtも同じ番手標記となります。そして実際に両方のラインを同じロッドにのせて振ってみると30ftヘッドのWFラインはロッド負荷不足になる可能性が高いです。つまりヘッド長30ftの#6WFラインのヘッド重量はAFFTAなら175>>訂正>>185grainですが、これでは一般の長いヘッドのWF6Fライン(3M/SAのWFなら40ft前後)のフルヘッドの重量負荷(WF6Fで210grain前後)に合わせてある6番ロッドにとって負荷不足になるからです。

したがってOH&DのWF6Fは、ラインメーカーとしては#8相当の210grainの重量を30ftヘッドのWF6Fに持たせるのが適当との考えのもと、全長30ft、210grainのヘッドをあえてWF8とせずにWF6と表記しているのではないかと推察されます。

ならば、ST8&ランニングラインと標記すればいいのに、ってまあそういうことですが、STヘッドとランニングラインが一体化した一本のラインであり、形状自体はWFといえますからWFという標記自体は虚偽ではありません。Tiemco/3MのOH&DのWFやRIOのOurbound、エアフローの40+やシックスセンスあたりには一応、商品説明にSTヘッドにランニングラインが付いたものですとの記載がありますね。