今日の企業は、組織のほとんどあらゆる階層に、高度の知識や技術を持つ者を多数抱える。
それら高度の知識や技能は、仕事の進め方や仕事の内容に左右される。
その結果、企業そのものや企業の能力に直接影響を与える意思決定が、組織のあらゆる階層において行われている。
「何を行い、何を行わないか」「何を続け、何を止めるか」「いかなる製品、市場、技術を追求し、いかなる製品、市場、技術を無視するか」などのリスクを伴う意思決定が、かなり下の地位の、しかもマネージャーの肩書のない研究者、設計技師、製品計画担当者、税務会計担当者によって行われる。
彼らは彼らなりに、漠然とではあっても、自らの企業について何らかの定義を持って意思決定を行う。
「我々の事業は何か。何であるべきか」との問いに対する答えをそれぞれ持つ。
従って、企業自らがこの問いについて徹底的に検討を行い、その答えを少なくても一つは出しておかなければ、上から下にいたるあらゆる階層の意思決定が、それぞれ相異なる両立不能な矛盾した企業の定義に従って行われることになる。
間違った定義に従って意思決定を行い、行動する。
あらゆる組織において、共通のものの見方、理解、方向づけ、努力を実現するには「我々の事業は何か。何であるべきか」を定義することが不可欠である。