四季彩詩 i′すみ

四季彩詩 i′すみ

日常にうかんだ景色、心情をつづっています。また、手書きの画像も載せたいと思います。

筆記具を自由に使って文字やメッセージを書いています。室内の装飾品、手紙文など、独自に作成しております。
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同じ人への

思い出が

共通していない

 

一緒に

暮らしていた

はずなのに

 

家族であっても

そういうもの

なのか

 

「お父さんは

 用意した

 ご飯のおかずに

 うるさい人

 だったわ」

 

実家に

帰るのも

 

気が重く

なってくる

 

子供の頃から

無理解な人に

 

見えては

いたけれど

 

晩年の

父の

『無理解』は

 

気持ちを

伝える術を

失ったこと

 

自分の家へ

帰ろうとする

私へ

 

「ほら、ほら」と

 

一枚づつ

渡そうとする

 

「お父さん

 お金なら

 大丈夫だよ

 ちゃんと

 持っているよ

 電車も乗れるし

 ご飯も

 食べているよ

 心配ないよ」

 

「ほら、ほら」と

 

一枚づつ

渡そうとする

 

千円札も

五千円札も

一万円札も

 

同じに

見えている

 

どれが多くて

どれが少ないか

 

同じに

見えている

 

ほんの少し

あるのは

 

これさえ

あれば

 

暮らしていけるの

だからという

 

子供に

教えたかったこと

 

金額の

区別が付くか

どうかより

 

働くことの

意味を

覚えたよ

 

ちゃんと

覚えたから

 

安心して

いいよ

 

それから

 

私のこと

知らない人に

なっていって

しまった

 

自分が

これなら

出来ると

思うことを

やればいい

 

自分のペースで

やればいい

 

すすんで

やろうと

思えることを

やればいい

 

あなたが

「出逢った人を

 大事にしなさい」

 

そう言ったから

 

大切に

してきた人に

 

教わってきた

こと

 

もう

お金では

得ることの

できない

ことを

 

教わって

 

最後に

渡された

五千円札

 

キーホルダーに

はさんだまま

 

立ち止まった時

地図に

あてる

方位磁石のよう

 

迷わないように

取り出しやすい

ポケットに

入れて

 

あなたを

覚えていよう

 

いつか

空の上で

 

キーホルダーから

ふと

差し出す

『方位磁石』に

 

そっと

 

振り向いて

くれる

日が

来るまで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

繰り返す

会話を

通して

 

積まれて

いると

思っていた

もの

 

言葉にある

「それ」は

 

 

緑色の

葉は

 

深い緑

濃い緑

 

どちらも

葉に

違いは

ないけれど

 

本当に

話したいと

思って

いたこと

 

話さなかった

のだろう

 

無音の

信号で

「信じて

 いるよ」

 

無音の

信号から

「私は

 私に

 背いて

 いたの」

 

まだ

若い柿が

小雨に

あって

 

日ごと

朱色に

熟すように

 

実ることと

信頼が

似ている

ことも

 

激しい

雨風が

それていき

 

小さな

階段を

とことこ

上り

 

葉一枚

からから

舞う

その先の

舗道を

見ては

 

いくつか

問いかけた

「それ」を

 

ずっと

知らずとも

 

坂のそばの

薄緑

 

静かに

 

実りかけて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小学生の

彼女の

 

夏休みの

記憶

 

隣りの

県には

 

お母さんの

故郷がある

 

故郷から

そう離れて

いない町に

 

おばさんが

住んでいて

 

「バッティングセンター

 行こうか」

 

「クリームチーズの

 おやつ

 冷蔵庫に

 冷やして

 あるよ。

 あんこが、

 ちょこんと、

 ノってるやつね」

 

遊びに

行くと

 

おばさんを

一人占め

していた

 

おばさんは

 

お母さんの

お姉ちゃん

 

だけど

 

友達みたいな

 

ある夏

 

おばさんは

 

頭が痛いと

言って

 

横に

なっていた

 

彼女は

 

遊びたくて

遊びたくて

 

話しかけたり

歩きまわったり

 

音をたてて

 

起こそうと

した

 

「乱暴者!」

 

遊んでくれる

人は

 

叱ったり

しないのかなと

 

安心していた

 

台所の

戸棚から

 

おばあちゃん

 

カップラーメン

出してきて

 

「食べよう」

 

って

用意して

くれた

 

できた

ラーメン

 

するする

すする

 

こぼれそうな

涙を

ぐっと

のみ込む

 

泣きそうに

なったのは

 

おいしく

ないから

じゃない

 

乱暴者と

言われたから

じゃない

 

優しい人は

いつも

優しいのだと

 

疑いも

しなかった

からだ

 

おばさんだって

頭が痛いこと

あるんだなって

 

どうして

 

思えなかった

のだろうと

 

悔しかった

からだ

 

あれから

 

カップラーメンを

すするたび

 

恋しくなる

 

するする

すすると

 

「また

 おいで」

 

って

言ってくれた

 

おばさんの

顔が

 

思い浮かぶから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家電量販店へ

出向き

 

購入するかどうか

検討しようと

していたもの

 

故障ではないが

そのまま

使い続ければ

 

自分ばかりか

周囲の人達も

困ってしまう

 

サポートが

終了した

パソコンは

おとなしい

 

シャットダウン

されていれば

 

感染が

どうしたも

ないだろう

 

使い慣れて

気に入って

いるからと

 

ぎりぎりまで

購入の機会を

延ばして

いたことは

 

あやまりだったのかも

しれない

買えず終いが

今日まで

 

行きたい場所へ

行っていない

 

宅配便に

頼り

 

日頃の

食材や日用品の

買い出し程度の

外出

 

マスク姿も

花粉症の

時期だなと

 

いつもの年なら

思っただろう

 

大きな船の

航海

 

帰ってきた

港で

待っていたもの

 

思い出をつくろうと

馳せたのに

 

家路は

遠のいて

 

命が

尽きてしまう

なんて

 

誰が

思って

出発した

だろう

 

同じ

世界にいて

 

私の

あの人の

旅は

 

あと

どれくらい

 

砂浜に書かれた

「頑張ろう」

 

横断幕に書かれた

「応援しています」

 

ブラウザが

開かないと

 

遮断された

気分に

なるのは

 

私が

決めてしまった

ことなのだろう

 

それよりも

 

砂浜や

横断幕の

メッセージは

 

何倍も

 

多くの人の

夜明けを

 

信じている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただの

 ぐし縫いに

 そんなに

 時間

 かかるのかね

 指ぬき

 ないのか?」

 

「指ぬきは

 あるけど

 腕が

 ないんだよね」

 

「練習

 しなよって

 ないモノの

 数を

 数える

 ことはない」

 

苦手なことを

避けて

 

自分の方法で

やってみる

のは

 

悪くない

 

縫い方の

基本と

バリエーション

 

いつも

薄く

 

付き合い

やすい

布を

 

扱うばかり

なら

 

作品も

限られるの

だろう

 

八十歳に

なろうと

する

 

彼女の

世界から

 

辛口な

注目

 

こちらは

いささか

 

太めの

針で

 

ぐっと

 

貫かれる

ようだ

 

さあ

練習

してみよう

 

指ぬきに

助けて

もらいながら

 

針の

オールで

 

漕ぎ出す

水辺

 

まだ

上手く

なくても

いいかな

 

何を

どれだけ

 

創り出そう

 

川面の色

銀の針の

色に似て

 

西へ向かう

鰯雲

見つめ

 

ようやく

晴れた

秋空が

 

薄あかねに

 

彼女の

近くで

半世紀

 

過ぎた

月日に

 

覚えた

ことを

 

縫い重ね

 

どんな

厚みも

 

貫けたんだと

 

ちゃんと

 

喜べる

ように