人魚姫 ブルーマーメイド 10 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい





「 大漁 大漁 ♪

  うまくいきましたよ プリンセス様 

  ま~んまと 王子を拉致することができました

  麻袋に 詰めて運んできました 」


「 おおぉお !

  でかした よくやりました 

  褒めてやりましょう お~ほっほほっ ♪ 」


「 ありがとう御座いますぅ ~♪ 」


「 でも 手荒な真似はしていないでしょうね ? 」


「 若干はネ でも生きていますよ うっひひぃ ♪ 」


「 どんな手を 使ったのですか ? 」


「 聞きたいですかぁぁ ? うっひひひっ ♪ 」


「 ふん べつにぃ 聞かなくたって いいんだよ 」


「 まぁまぁ そう言わず

  せっかくだから聞いてくださいよう 

  実は わたくしめが変態行為をするため

  鬼畜変態仲間たちと一緒に長年研究をしている 

  催淫剤や その他もろもろの開発の過程で

  次亜塩素酸カルシウムの粉末と

  エタノールと反応させて

  麻酔作用のある世界初の薬剤( クロロホルム(注))を 

  見事に 完成させました 」


「 ふ~ん おまえには

  鬼畜の 変態仲間がいるのですね ? 」


「 類は友を呼ぶ 朱に交われば赤くなる

  なぁんてぇ事を申しまして

  いつのまにやら 仲間は増えるんです

  背徳の美学 快楽はたまらないのですよ 」


「 社会の役に立つことなど 

  露ほども考えていないのね

  ほんとに お前は

  いけすかない ゲス野郎で 気持ち悪いわね

  お~ほっほほほ ♪ 」


「 お褒めの お言葉 いたみいります ♪ 」


「 それで 続きは ? 」


「 はい 王子が海辺を 散歩していたところを

  彼等と 後ろから忍び寄り

  薬剤を た~っぷり しみこませたハンカチで

  口と鼻を塞ぎ 気絶させて 拉致しました 」


「 それは 見事な 卑怯で卑劣な手口ですねぇ

  でもそれは呼吸障害や心不全とかを起こしたりする

  危険な薬品なんじゃないのかい ?

  お~ほっほほほほ ♪ 」


「 仲間内で 使用量を研究し合いました

  けっこう危ない目にもあいましたがね

  良い子は 拉致監禁に絶対使用しないようにね

  映画みたいに上手くいくわけとは限らないの 

  いのちの危険もあるのですよう ~ 」


「 薬物を 社会的に役立てようとする考えは

  お前の頭には 露ほどもないのね

  変態行為にだけ使おうとする

  そんな事考えるのは お前たちだけだよ

  気持ち悪いわねぇ お~ほっほほほほ ♪ 」


「 今回 拉致の協力を頼みました連中は  

  のぞきの同好の士ですし 薬物大好き  

  日々研究を怠りません 自分の身体でね 

  また 近いうちにラリって捕まっちゃうかも

  でも わたくしめ達は お互いに 

  とても尊敬しておりますよ

  うっひうひひひぃ ♪ 」

  
「 お前の 変態仲間は

  たいへん悪事の役に立つのですねぇ 」


「 はい それはもう 

『 へ ん た い 』 だけに

『 た い へ ん 』 な者達です

  薬剤の効果も 確認できましたから 

  これから悪さ し放題です ウッヒヒヒヒ ♪ 」

  従者は あらぬ妄想をふくらませヨダレをたらしました


「 お前も そうだけど 

  みんな鬼畜野郎で おぞましいですね 

  他国なら本来は存在を許されないほどね

  お~ほっほほほ ♪  」


「 またまた お褒めいただき

  ありがとう御座いますぅぅ

  そうそう 一緒にいた例の毒殺未遂だった

  美人の侍従の娘も かっさらって来ましたぁ ~ 」


「 あっそう べつにぃ ~

  王子さえ 手に入れれば 

  もう 小娘なんざ興味がないわ 

  お前の好きにすればいいさ お~ほっほほ ♪ 」


「 へぇ~え 殺そうとまでしたくせに 」


「 おまえ 失敗したんだろうが 」


「 代わりに わたくしめが死にそうになりましたよ 」


「 死んだって良かったのに なにを遠慮しているのだか 」


「 プリンセス様こそが 砒素なめればよかったのにぃ 」


「 やなこった まだ若いんだよ 」


「 うそつき そうとう歳 サバ読んでるでしょうが

  しょせん若い娘には かないませんよ~だ  」


「 ムキ~ィィイイ ! 

  お前だって いい歳ぶっこいて 変態だろう! 」


「 プリンセス様 怒ると小じわが増えますよ~だ 」


「 なんだと ~! あの娘やらないよ 

  他の変態に あげちゃおうかなぁ ~ 」


「 いやいやいや そんなこと言わないでぇ

  よろこんで 頂きます 頂きます 」


「 じゃぁ 感謝しろよ 」


「 あぁ ~ ありがたき幸せ 

  早速 変態行為に励むとします

  うひひひひっ ~♪ 」


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。



  人魚姫は 意識を取り戻しました 

  見覚えのない薄暗い小部屋でした


  そこには 手鏡を持った 変態の従者が

  薄笑いを浮かべ立っていました


  身体を動かそうとすると 

  荒縄で手足を縛られていることに気付きました


「 ♪ お嬢ちゃん あそびましょ~う

  うっひひひっ ♪ 」

  変態従者は 手鏡をかざしながら

  人魚姫に近づいてきます





「 わたくしめは 手鏡で 

  女の子の スカ~トの中を観察するのが 

  この上ない 喜びなのですよぉぉぉお ~!

  これが元で 大学は免職になりましたが

  そんな事 ぜんぜん気にしないのですよ ~

「 冤罪だ 国策逮捕だ 」 って主張してますよ

  前科は幾つもあるんですけどね テヘペロ

  そして夏休みの観察日記も 書くのですよぉお ~

  克明に観察して 書くんですよぉぉおおお ~

  鏡に映し出すことで 3次元が 2次元に変換され

  お下劣な欲望は より増幅増大されるのですよぉぉお 

  過剰に肥大した どす黒い欲望に 

  わたくしめの ショッキングピンクの脳細胞は 

  今 最高に 異常活性化しているのですよぉぉおお

  うひひひひひひひひぃぃぃぃ げほげほっ ! 」


  人魚姫は 薄気味悪さと同時に

  底知れぬ恐怖を覚えました 

  意味不明 理解不可能な 人間の恥部 

  暗黒部分のグロテスクさを 

  露骨に見せつけられたような気がしました


  しかし それは 彼なりの 

  悲しく 望んでも満たされぬ愛への

  深く 熱く 強い 渇望なのかも知れません

  どこかで ゆがみ ねじ曲がり 変質した
     
  屈折した形の 愛情の発露 

  自分自身が 気がつかない

  悲しみの 苦悩の表現なのかも知れません



  しかし あまりの おぞましさに

  人魚姫の肌には 鳥肌が立ち

  虫酸が走り 吐き気を催しました

  人魚姫は 悲鳴を上げました 


       続 く


(注)
19世紀後半から20世紀前半にかけて、
一般的な吸入麻酔薬として外科手術に利用されてきた。
その後、より高い安全性を持つものに置き換えられた。
麻酔作用があることは一般にも有名である。

  ウィキペディアより


良い子は拉致監禁等、犯罪に使用しないでね。