巨人国編 偽作ガリバ~旅行記 14   | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい

  国様と ガリバ~は色々話をしました、

  いつもガリバ~は 冗談の種にされていました。

  ある日、ガリバ~は思いきって、

  こんなことを言いました。


「 王様 ~ 

  オイラや エゲレスを見下すのは やめてよ、

  智恵は身体の大きさに比例するわけじゃないし、

  いや、逆の場合だってあるかもね 」


「 それでは、その知恵について、

  できるだけ正確に話してもらいたいものじゃのう 」


「 王様 オイラはスゴいことを知っているんだよ。

  昔 むかし ある粉が発明されたけど、

  オイラは その製造法を知っているんだ。

  まず、この粉というのは、それを集めておいて、

  これに火をつけると、山ほど積んである物でも、

  たちまち火の塊になり炸裂して、

  雷のような大きな音を立て、

  何もかも空へ高く吹き飛ばしてしまうんだ。





  それから この粉を鉄の管に詰めて

  そこに鉄の玉を入れ 火をつければ、

  恐ろしい力と速さで 鉄の玉を砲弾として

  遠くへ飛ばすことができるんだよ。





  大きな鉄の砲弾を打ち出すと、

  軍隊を全滅さすことも、鉄壁を破ったり、

  船を沈めてしまうこともできるんだよ。





  この粉を 鉄の球の中に詰めて込んで、

  導火線に火をつけ 敵に向って放つと爆発して、

  かけらは 四方八方に飛び散って、

  近くのものは 誰でも何でも

  吹き飛ばすことができるんだ。





  オイラ この粉の作り方を知っているよ、

  職人を指図して この国で使えるぐらいの大きさに、

  それを作らせれば 敵国が攻めてきても大丈夫。

  もし国民が王様に反逆しそうな場合は、

  この粉で反逆者を簡単に

  ねじ伏せる事だってできるんだ 

  だから 王様も安心だよ うふふふ ♪ 」

  ガリバ~が そう言うと、

  王様は言いました。 


「 その粉は 火薬のことだろう、 

  ワシも 精製法は知っておる。

  しかし我が国では製造も使用も 

  かたく禁じておる 」


  ガリバ~は 仰天してしまいました。

  王様は 怒り 呆れ 悲しい顔つきで言いました。


「 お前のような、ちっぽけなネズミのような動物が、

  よくも そんな鬼畜の考えを抱けるものだ、

  この間の 母猿のほうが どれだけ善良であろうか。

  ワシは 国民の心が ワシから離れたら 

  その時は潔く 王座を退こう、

  尊敬を得られぬ者が 国王として君臨するのは

  国民にとって 大変に不幸なことじゃ。

  そして 国民を導く立場の者が

  国民を 鉄の玉で 蹂躙できようものか、

  鉄の玉で 死傷した国民の むごい有様を見て、

  どうして 平気でいられるものか ! 」


「 オイラ 王様のことを思って 、、、 」


「 お前は その人殺し道具を さも自慢げに話すが、

  そんな悪魔の発明こそ 人類の敵、

  地獄の連中の仲間の やることにちがいない !

  ワシが 今、国王の地位を追われたとしても 

  そんな 汚らわしい 悪魔の発明は

  けっして 容認することはできぬのじゃ !

  ワシは それらを使用した結果が生み出す悲劇を 

  考えたくもないのだ !

  だから、二度と そんなことを申すな ! 」


  王様は、科学に興味を持ち、

  自然に関する発見など非常に喜ぶのですが、

  人の命を軽んじる事を 許さないのでした。


「 しょぼ~ん 」




「 ガリバ~よ 人は争うために生きてはいけない、

  人の運命は ときに 理不尽で 過酷だ。

  だから互いに慈しみ より良い未来を

  切り開くために 生きなければいけない。


『 なぜ 人を殺してはいけないのか ? 』 


  と 問う者がおる、

  その答えは 明瞭じゃ。

  なぜならば 一度 殺してしまうと

  二度と 生き返らすことができないからじゃ、

  生命を奪うことは その者の未来を

  全て 奪うことになるからじゃ。

  だからこそ 人は 殺しあってはいけないのじゃ。

   暴力は 暴力の連鎖を生み出し

  憎しみは 積み上がり 膨れ上がる、

  戦争は 悲しみ 憎しみ 苦しみ を生み出す、

  それは 長く 長く 

  人々の心を 傷つけ 激しく苛む。

  だから人は感情を安易に 発露 暴走させることなく

  武力を行使せず 言葉を重ね 粘り強く 辛抱強く

  たとえ長い時間が 長い年月がかかったとしても

  互いを理解することに 心を砕かねばならぬのじゃ、

  猜疑心は ありもしない恐怖を生み出す元凶なのだ 」

 
  ガリバ~は 自国の利益のため

  植民地支配に邁進する 戦争も厭わない

  祖国の現状を思い浮かべ 

  より身を縮め 小さくなりました。 





 「 ガリバ~よ どうじゃろう

   ワシの考えは 間違っておるかのぅ ? 」


       続 く